研究課題/領域番号 |
23K07922
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
泉川 公一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (20404212)
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研究分担者 |
田代 将人 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (20713457)
田中 健之 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (30432967)
高園 貴弘 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30716569)
柿内 聡志 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (40794516)
角田 俊之 福岡大学, 医学部, 准教授 (70444817)
串間 尚子 福岡大学, 医学部, 准教授 (90642497)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | アスペルギルス / 細菌 / 細胞間コミュニケーション / バイオフィルム形成 |
研究実績の概要 |
アスペルギルスと非結核性抗酸菌との相互のインタラクションについて、細胞間コミュニケーションの視点から研究をおこなってきた。今回、非結核性抗酸菌以外の黄色ブドウ球菌や緑膿菌、その他の細菌とアスペルギルスとの重複感染について、同様の研究を行うこととし、①細菌の増殖・バイオフィルム形成能、②マクロファージの殺菌能、③ヒト気道三次元微少環境モデルを用いた細菌感染肺胞上皮細胞の免疫応答、④慢性気道感染マウスモデル、それぞれにおけるアスペルギルスの二次代謝産物、autoinducerの影響を検討する予定であった。一方で、先行研究で、in vitroにおける、アスペルギルスの増殖能、バイオフィルム形成能に対する非結核性抗酸菌の代謝産物や菌体外酵素が、アスペルギルスのバイオフィルム形成能を増強することをXTT assayにて証明したことをうけ、今年度は、①の研究について、まず、アスペルギルスの増殖能、バイオフィルム形成能に対して、細菌の代謝産物や菌体外酵素がどのように影響を与えるか検討した。 Pseudomonas aeruginosaの標準株であるPAO1株の培養上清を抽出し、Aspergillus fumigatusのreference株であるaf293株、A. terreus (NBRC6346)、A. flavus (NBRC6343)、A. niger (NBRC10564)の4株と共培養する実験系を構築した。アスペルギルスのバイオフィルム形成能はCV assayで評価した。すべてのアスペルギルスでバイオフィルム形成能が抑制される傾向にあり、特にA. fumigatusとA. flavusについては大きく抑制され、A. nigerとA. terruesについては、軽度であり、菌種によって影響が異なる可能性があることが判明した。また、②については、アスペルギルス死菌糸がマクロファージ自体にダメージを与えることが判明し、実験系の調整を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で、①種々の細菌の増殖・バイオフィルム形成能、②マクロファージの殺菌能、③ヒト気道三次元微少環境モデルを用いた細菌感染肺胞上皮細胞の免疫応答、④慢性気道感染マウスモデル、それぞれにおけるアスペルギルスの二次代謝産物、autoinducerの影響を検討予定であったが、申請後の先行研究で、in vitroにおける、アスペルギルスの増殖能、バイオフィルム形成能に対する非結核性抗酸菌の代謝産物や菌体外酵素が、アスペルギルスのバイオフィルム形成能を増強することが判明したため、今年度は、①の研究について、まず、アスペルギルスの増殖能、バイオフィルム形成能に対して、細菌の代謝産物や菌体外酵素がどのように影響を与えるか検討した。②についても実験系の再調整を行っている。当初の予定より、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で、①種々の細菌の増殖・バイオフィルム形成能、②マクロファージの殺菌能、③ヒト気道三次元微少環境モデルを用いた細菌感染肺胞上皮細胞の免疫応答、④慢性気道感染マウスモデル、それぞれにおけるアスペルギルスの二次代謝産物、autoinducerの影響を検討予定であった。先行研究で、in vitroにおける、アスペルギルスの増殖能、バイオフィルム形成能に対する非結核性抗酸菌の代謝産物や菌体外酵素が、アスペルギルスのバイオフィルム形成能を増強することが判明し、重複感染時に臨床的な増悪因子となる可能性を示した。本研究は、本来、アスペルギルスと非結核性抗酸菌を含めた種々の細菌が重複感染した際の相互作用をみる研究であり、in vitroで重複感染時の増悪する病態の解明に新しい知見がでたことは今後の研究の進展に大きいと考えた。当初、細菌の動態にアスペルギルスの二次代謝産物、autoinducerの影響与える影響をみる予定であったが、アスペルギルスの動態に、細菌が与える影響をみることに優先度をあげ研究を進める方針とした。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験、研究の進捗がやや遅れており、予算執行が当初の予定より少なくなった。今後、研究を継続するため、今年度は、予定額と今回、生じた差額分をすべて使用する予定である。差額分については、特に、バイオフィルム形成能実験に用いる試薬費用として使用する。
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