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2023 年度 実施状況報告書

COVID-19に関連する多彩な病態はSARS-CoV-2のSタンパクが原因か?

研究課題

研究課題/領域番号 23K07948
研究機関岩手医科大学

研究代表者

村木 靖  岩手医科大学, 医学部, 教授 (00241688)

研究分担者 石川 静麻  岩手医科大学, 医学部, 助教 (10971955)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードCOVID-19 / COVID-19mRNAワクチン / SARS-CoV-2 / Sタンパク / 糖鎖 / シアル酸
研究実績の概要

新型コロナウイルス感染症COVID-19やCOVID-19 mRNAワクチン接種においては、さまざまな臓器に関連する病態や副作用がみられる。しかし、その多様性の原因となるメカニズムは明らかではない。研究代表者は自身の基礎インフルエンザウイルス学の研究を背景に、新型コロナウイルスSARS-CoV-2のスパイクタンパク(Sタンパク)が糖鎖を切断-特に糖鎖の還元末端のシアル酸を除去-する機能をもつと推測した。生命現象において不可欠な役割を担う糖鎖(シアル酸)は、細胞の情報伝達、接着、分化、組織の形成、免疫(生体防御)反応、腫瘍(がん)の発生や転移、などに関与し、その欠損により細胞や組織の機能が低下することは広く知られている。もしSタンパクにシアル酸を除去する機能があれば、病態の多様性の一因になる可能性がある。
本研究の目的は、ウイルス様粒子(VLP)作製系等を用いた徹底的な解析を行い、Sタンパクのシアリダーゼ(シアル酸除去)活性を証明することである。本研究で得られる知見は、Sタンパクの新しい機能やドメインを提唱すると共に、多彩な病態や症状に対する治療法につながるものとなる。
令和5年度の研究では、ウイルス様粒子(VLP)の作製に先がけて、培養細胞を用いたシアリダーゼ活性の測定系を構築した。その結果、シアリダーゼ活性は細胞の培養条件により、大きく変化することが明らかとなった。最適な測定条件を決定することが今後の研究の進展に重要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

A型インフルエンザウイルスのヘムアグルチニン(HA)タンパクを単独で培養細胞に発現させ、その細胞表面への赤血球の吸着を指標としてシアリダーゼ活性を定量する系の構築を試みた。HA単独発現細胞を細菌由来のシアリダーゼで処理したものを赤血球吸着の陽性コントロールとした。シアリダーゼ活性は、培養細胞の種類、遺伝子導入や細胞の培養条件により大きく変動することが明らかとなった。最適な条件を決定することが今後の研究の進展に重要である。

今後の研究の推進方策

現在解析中の培養細胞を用いたシアリダーゼ活性の測定系の構築に全力を注ぐ。最適な実験条件を明らかにした後に、下記の事項を検討する。
1.種々の量のSARS-CoV-2精製SタンパクをA型インフルエンザウイルスのHA単独発現細胞へ添加し、赤血球吸着を観察する(吸着した赤血球のヘモグロビン濃度を定量する)。2.SARS-CoV-2のSタンパク遺伝子をタンパク発現ベクターにクローニングし、S単独発現細胞を構築する。3.上記の結果をもとに、HA+S共発現細胞を作製し、赤血球吸着を定量し、最適な発現比を求める。4.1~3の成績に基づき、ウイルス様粒子(VLP)産生系の構築に着手する。

次年度使用額が生じた理由

消耗品の購入と研究成果の発表で、ほぼ予算額を使用した。残額(162円)は次年度の消耗品の購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The relationship between the chemical structure, physicochemical properties, and mucosal adjuvanticity of sugar-based surfactants.2023

    • 著者名/発表者名
      Kawamura H, Yoshino N, Murakami K, Kawamura H, Sugiyama I, Sasaki Y, Odagiri T, Sadzuka Y, Muraki Y
    • 雑誌名

      Eur J Pharm Biopharm.

      巻: 182 ページ: 1-11

    • DOI

      10.1016/j.ejpb.2022.11.023

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Suitability of polymyxin B as a mucosal adjuvant for intranasal influenza and COVID-19 vaccines.2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshino N, Yokoyama T, Sakai H, Sugiyama I, Odagiri T, Kimura M, Hojo W, Saino T, Muraki Y
    • 雑誌名

      Vaccines (Basel)

      巻: 11 ページ: 1727

    • DOI

      10.3390/vaccines11111727

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Development of influenza and COVID-19 intranasal vaccines containing polymyxin B as a mucosal adjuvant.2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshino N, Yokoyama T, Sakai H, Sugiyama I, Odagiri T, Kimura M, Hojo W, Saino T, Muraki Y
    • 学会等名
      第70回日本ウイルス学会学術集会
  • [学会発表] ポリミキシンBの粘膜アジュバント作用:インフルエンザおよびCOVID-19経鼻ワクチン開発における可能性2023

    • 著者名/発表者名
      吉野直人、横山拓矢、酒井博則、杉山育美、小田切崇、木村将大、北條渉、齋野朝幸、村木靖
    • 学会等名
      第27回日本ワクチン学会・第64回日本臨床ウイルス学会合同学術集会
  • [学会発表] ウイルスタンパクに対するポリミキシンBの粘膜アジュバント作用の検討2023

    • 著者名/発表者名
      吉野直人、横山拓矢、酒井博則、杉山育美、小田切崇、木村将大、北條渉、齋野朝幸、村木靖
    • 学会等名
      第75回日本細菌学会東北支部会
  • [学会発表] B型インフルエンザウイルスーヘマグルチニンに対するIgMの取得と機能評価2023

    • 著者名/発表者名
      石川静麻、小田切崇、吉野直人、村木靖
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] B型インフルエンザウイルス特異的免疫逃避機構解明にむけた抗HA単クローン抗体の作製2023

    • 著者名/発表者名
      小田切崇、石川静麻、吉野直人、村木靖
    • 学会等名
      2023年度東北乳酸菌研究会
  • [図書] 岩手医科大学医師会報(COVID-19 ~今こそ、基本に戻り考えたい~)2023

    • 著者名/発表者名
      村木靖
    • 総ページ数
      25
    • 出版者
      岩手医科大学医師会
  • [備考] 岩手医科大学 微生物学講座 感染症学・免疫学分野

    • URL

      http://www.iwate-med-micro.org/index.html

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公開日: 2024-12-25  

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