研究課題/領域番号 |
23K07951
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
西村 知泰 慶應義塾大学, 保健管理センター(日吉), 准教授 (90348649)
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研究分担者 |
長谷川 直樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (20198724)
下田 将之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70383734)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 肺MAC症 |
研究実績の概要 |
日本において、肺非結核性抗酸菌(NTM)症の罹患率は増加の一途をたどっている。肺NTM症の内、肺Mycobacterium avium complex (MAC)症が90%を占めるが、肺MAC症はその病態において依然不明な点が多い、慢性呼吸器感染症である。肺MAC症の治療ガイドラインでは、macrolide系抗菌薬を含む抗菌薬併用療法が推奨されているが、治療ガイドラインに準じた治療を実施した肺MAC症の内、喀痰培養陰性化後の喀痰培養再陽性化率が48%であったと報告されており、再燃・再発率が高い。肺MAC症の病態解明、有効な治療法の開発が急務である。抗酸菌の細胞壁は多量の脂質を含んでおり、抗酸菌症の病態形成にその脂質が関与していることが明らかになってきている。しかし、肺MAC症の病態における菌細胞壁脂質の役割は未だに解明されていない。 AIDS患者由来のMycobacterium avium subsp. hominissuis 104の菌体から菌細胞壁脂質であるtrehalose 6,6'-dimycolate (TDM)、trehalose 6-monomycolate (TMM)を抽出した。ヒト末梢血単核球由来マクロファージ(ヒトマクロファージ)をTDM、TMMで刺激したところ、TNF-αやIL-6等の炎症性サイトカインの遺伝子発現、分泌が有意に亢進することを確認した。更に、肺MAC症患者由来のMycobacterium avium subsp. hominissuis TH135の菌体から抽出したTDM、TMMで、ヒトマクロファージを刺激しても、炎症性サイトカインの遺伝子発現、分泌が有意に亢進することを確認した。以上より、肺MAC症の病態において、TDM、TMMが炎症を引き起こす物質として関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究環境等の問題はなく、研究実施計画に沿って研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究実施計画に沿って研究を進めていく予定である。一方、本研究を進めている中で、MACは菌株の違いだけでなく、培養条件によってもTDM、TMMの分子構造に変化が生じることも判明した。この点に関しても検討を進めて行く。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の効率化により、消耗品購入費を低く抑えることが出来たため。研究実施計画に則り研究を進め、主に消耗品購入に使用する予定である。
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