研究課題/領域番号 |
23K07953
|
研究機関 | 北陸大学 |
研究代表者 |
武本 眞清 北陸大学, 薬学部, 准教授 (60379237)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | サイトメガロウイルス |
研究実績の概要 |
国内で分離されたヒトサイトメガロウイルス (HCMV) 91-7S株は、TowneやMerlinなどの標準株に比べて様々な種類の宿主ケモカイン、特に炎症性腸疾患 (IBD) への関与が近年報告されているCCL20を強く発現誘導する。本研究の目的は、①CCL20発現を誘導するHCMV遺伝子の同定と、②腸管オルガノイドにおけるHCMV感染および炎症誘発のメカニズム解明、③HCMVの遺伝型を指標としたIBDの予後マーカーの開発遺伝的要因を明らかにすること、の3点である。2023年度は①について検討し、以下の結果を得た。 まず、91-7Sゲノム上のORFを網羅的に検索し、MerlinのORFと比較解析した。ORFのサイズや相同性、報告されているORFの機能などからエンベロープ糖タンパク質M (gM) をコードするUL100に着目した。UL100はケモカイン受容体に共通してみられる7回膜貫通型の構造をしており、UL73によりコードされるgNとヘテロダイマーを形成するが、91-7SではUL73が欠損しているためgMが単独で存在すると考えられる。UL100をクローニングしたプラスミドを、ヒト大腸がん由来細胞株LoVoにトランスフェクションし、リアルタイムRT-PCR法によりCCL20遺伝子発現解析を行なったところ、91-7SとMerlinの差はなく、どちらのUL100もCCL20遺伝子発現を上昇させた。91-7SではgMが単独で、MerlinではgM/gN複合体として存在するという違いがあるので、今後UL73の共発現によるCCL20遺伝子発現への影響も検討していく必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
UL100遺伝子がクローニング耐性を示したため、コンピテントセルの変更や培養条件の検討に迫られ、計画に遅延が生じてしまった。
|
今後の研究の推進方策 |
UL73遺伝子の共発現に加えて、Merlinとの比較解析で得られた他の候補遺伝子についてもCCL20遺伝子発現への関与を検討していく。また、同時に91-7S感染LoVo細胞における、miRNA発現解析、プロテオーム解析からも検討を進め、候補遺伝子を絞り込んでいく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
UL100遺伝子のクローニングに時間を消費してしまい、他の実験計画に遅れが生じた影響で、予算として見積もっていた額を大幅に下回り次年度使用額が生じた。
|