研究課題/領域番号 |
23K07958
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
吉田 光範 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター 感染制御部, 主任研究官 (70772630)
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研究分担者 |
星野 仁彦 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター 感染制御部, 室長 (20569694)
深野 華子 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター 感染制御部, 主任研究官 (40807541)
山本 健太郎 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター 感染制御部, 主任研究官 (40832308)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Mycobacterium abscessus / 非結核性抗酸菌 |
研究実績の概要 |
肺MABC症は世界中で患者が急増している難治性呼吸器感染症であるが、現在のところ有効な治療法が確立されていない。そのため、MABCの感染・発症機序の理解に基づいた効果的な治療法や診断法の開発が待ち望まれている。本研究は、MABCの臨床/環境分離株のゲノム情報解析と表現型解析を行い、肺MABC症の成立と進行に関る菌側因子の網羅的な解明を目指す。 本年度は、国内の肺MABC症患者由来のMABC臨床分離株375株、水道水や空気由来の環境分離株141株を収集・保管した。これらの菌株について、短鎖型あるいは長鎖型次世代シークエンサーによるゲノムデータの取得し、データのQCが完了した。新たに取得した菌株の系統解析を行うために、申請者らが既に取得した東アジアの肺MABC症患者由来の臨床分離株368株、データベースにて公開されている欧米諸国における嚢胞性線維症(Cystic Fibrosis: CF)患者由来の臨床分離株476株のゲノム情報と併せた合計1360菌株のデータセットを解析した。 系統推定にはgubbins、系統クラスタリングにTreeGubbins、遺伝子アノテーションにdfast-core、遺伝子のクラスタリングにRoaryを使用し、菌株の系統と、それぞれの系統に特異的な遺伝子を明らかにした。 今年度新たに解析した菌株の系統は、概ね既報通りにM. abscessus DCC1やABS-GL3、M. massiliense DCC3やMAS-GL1.1が多かったが、環境分離株で多かったのは、これらの系統とは別の系統だった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、菌株の収集・保管およびゲノムデータの取得が主な目標であったため、おおむね順調に進展した。環境分離株については、研究計画時に想定していたよりも大幅に多くの菌株を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、MABC系統ごとに数株ずつ選定し、THP-1細胞株への感染後時間経過にともなう菌の遺伝子発現解析、ハイコテントイメージングシステムをもちいた細胞内菌量測定による菌の病原性評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
短鎖型あるいは長鎖型次世代シークエンサーによるゲノムデータの取得にかかる費用を安価にすることができたため。次年度に追加のシーケンスデータ取得費用にあてる予定である。
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