研究課題/領域番号 |
23K08010
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
寺坂 友博 岡山大学, 大学病院, 助教 (80721935)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ゴナドトロープ細胞 / 下垂体 / RNA結合タンパク / ZFP36 / mRNA代謝 / ルシフェラーゼレポーターアッセイ |
研究実績の概要 |
RNA結合タンパクであるZinc Finger Protein 36 Homolog (ZFP36)は、mRNAのAU-リッチ領域(AU-rich element; ARE)に特異的に結合しmRNAの代謝を促進させる。性腺ホルモンを制御する下垂体ゴナドトロープ細胞においてZFP36タンパクはGnRH刺激により発現が増加し、AREを有するmRNA発現量の調整に関与していると考えている。レンチウイルス粒子トランスダクションにより作出した、ZFP36過剰発現安定発現株(ZFP36-FLAG-LβT2)を用い、AREを有するゴナドトロピン関連mRNAの3’UTRを組み込んだルシフェラーゼレポータープラスミド(pmirGLO)によりコントロール株とZFP36高発現株のルシフェラーゼ活性を対比し、ZFP36によるmRNA代謝作用の検討を進めた。Egr1 3’UTRのAREを含む箇所ごとに短縮したプラスミドを用いたルシフェラーゼ活性で、899-1006間, 607-899間および1-474間で活性のステップアップを認め、各々のARE変異配列を含むレポータープラスミドを作製しルシフェラーゼ活性を検討した。1-474間のARE変異で特にルシフェラーゼ活性の増大を認め、同部位がEgr1 3’UTRにおけるZFP36の作用部位であることが示唆された。 ZFP36はゴナドトロピン分泌調節に関与しAREを有するmRNAの分解調節に直接的に作用することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Gnrhr-Cre×ZFP36-floxマウス(ゴナドトロープ特異的ZFP36ノックアウトマウス)を作出するために、ZFP36-floxマウスをカリフォルニア大学アーバイン校より譲り受けたが、親マウスに細菌のコンタミを起こしていたため一度胚凍結・胚移植処置を施してからかけ合わせる作業が必要となり、最終的にGnrhr-Cre×ZFP36-floxマウス(ヘテロ)が得られたのは2024年3月頃となったため。
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今後の研究の推進方策 |
Gnrhr-Cre×ZFP36-flox(ヘテロ)マウスからかけ合わせることによるホモマウスの作出を行い、雌マウスの性周期の変化や雄雌の繁殖能力の有無、GnRH刺激によるゴナドトロピン分泌の反応性の変化の検討をスムーズに行えるようにする。その間に、CRISPR-Cas9システムを用いたトランスフェクションと蛍光セルソートにより作製したZFP36ノックアウトLβT2細胞株のGnRH反応性およびLH産生について検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
ゴナドトローブ特異的ZFP36ノックアウトマウス(Gnrhr-Cre×ZFP36-flox)を用意するのに半年程度の遅れが生じたため、これを用いた実験に使用予定だった消耗品の購入ができなかった。令和6年度に当初計画していた経費に上乗せの形で消耗品の購入に充てる予定である。
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