研究課題/領域番号 |
23K08015
|
研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
橋本 貢士 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30396642)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | SIGLEC1 / バセドウ病 / 再発 / 再燃 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はバセドウ病におけるSIGLEC1の病態学的意義を種々の臨床研究を通して解明し、薬物治療終了後のバセドウ病の再発を予測するマーカー、未治療バセドウ病の治療的予後を予測するマーカーそして自己免疫性多発性内分泌腺症候群(Autoimmune polyglandular syndrome: APS)3型の発症を予測するマーカーとして臨床応用の可能性を検討し、最終的にはSIGLEC1の臨床実装を図ることである。本年度はバセドウ病の薬物治療開始時のSIGLEC1値は難治性を予測できるかという検討を行った。バセドウ病の薬物治療開始時にSIGLEC1 mRNA レベル、血中SIGLEC1濃度、甲状腺ホルモン(遊離T4、遊離T3)、TSH、TSHレセプター抗体(TRAb)測定および超音波検査による甲状腺重量測定を行った。現在までに272症例のバセドウ病患者から、白血球中のmRNAを抽出し、SIGLEC1mRNAレベルを定量的PCR法で定量した。また新しく開発したELISA法を用いて、患者血清から血中SIGLEC1濃度を測定した。現在までの解析で、SIGLEC1mRNAレベルと血中SIGLEC1濃度には正の相関が有意に認められた。現在初診のバセドウ病患者はSIGLEC1mRNAレベル及び血中SIGLEC1濃度とその予後がどのように関連するか、前向き研究を行なっている。さらに当院に通院する自己免疫性甲状腺疾患(AITD:バセドウ病およびまたは橋本病)もしくは1 型糖尿病(T1DM)と診断された患者191名の白血球中のSIGLEC1 mRNA レベルを測定し、AITD単独罹患群、T1DM単独罹患群およびAITDとT1DMを合併するAPS3群に分別して比較検討した。SIGLEC1mRNAレベルはAITD単独罹患群と比較してAPS3群において有意に高値を呈した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多くの症例が蓄積しており、前向き研究も順調に進んでいる。またAPS3型についての検討も並行して進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
症例をさらに増やして、解析を続けるとともに、慶應義塾大学理工学部の榊原康文教授との共同研究で今までのデータを元に人工知能(AI)に記憶学習させ、AIを用いたバセドウ病の再発、再燃予測が可能か検討していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、前年度までに購入していた逆転写定量的PCRやELISAに必要な試薬などの消耗品が十分に残っていたためあまり購入しなくても済んだことが大きな理由として挙げられる。次年度は解析症例も増えているため、これらの試薬などの消耗品を多く購入する必要があり、次年度使用額を含む十分な支出が見込まれる。
|