研究課題/領域番号 |
23K08027
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
前田 訓子 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10738876)
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研究分担者 |
永野 浩昭 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10294050)
中島 千代 山口大学, 医学部附属病院, 診療助教(4日/週) (30906912)
飯田 通久 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50554797)
渡邊 裕策 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (80799437)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 癌 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は患者由来オルガノイド(PDO)を用いた乳癌に対する個別化医療提供システムの検討および抗癌剤耐性メカニズムの解明である。乳癌は、女性のがん関連死亡の主要原因の一つである。近年、その治療法は進歩しているものの、治療抵抗性、再発、転移などの臨床的な課題は依然として残っている。その一因として乳癌の腫瘍内不均一性が挙げられる。そのため乳癌根治のためには、腫瘍内不均一性を考慮したうえで治療方針を決定することが重要である。しかし、現在は臨床病理学的な特徴のみに基づき治療方針が決定されており、実際の治療効果を正確に予測し得ず、結果として治療抵抗性を産み予後不良に繋がる。 本研究では、乳癌外科切除標本からPDOを作製し、PDOに対する化学療法感受性を検証し、その機構を解析する。 本研究において乳癌10例の新鮮切除標本からオルガノイド作製を行い、その内3例にて化学療法感受性試験を行った。用いた腫瘍は、腫瘍径平均21 mm、グレード3 (9例)・4 (1例)、ルミナルA (5例)・B (3例)・トリプルネガティブ (2例) 、リンパ節転移あり (4例)・なし (6例) であった。先行して実施したネコ自然発生乳癌 (CBC) からのオルガノイドの遺伝子プロファイルの解析から見出された経路 (論文発表前のため名称非公開) が、細胞増殖、浸潤、アポトーシスに影響を与えることにより、CBCの進行と転移を制御する上で重要な役割を果たしていることを見出しており、ヒト乳癌細胞株(MCF7とMDAMB231)と上記の患者由来の乳癌オルガノイドにおいても、同経路が細胞増殖、浸潤、アポトーシスを媒介することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新鮮手術検体からのヒト乳癌オルガノイド作製の成功率が当初の想定よりも低かった。そのため、十分な抗がん剤感受性試験が行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、新鮮手術検体からのヒト乳癌オルガノイドの作製を試みるだけでなく、ネコ検体からの解析も進め、ヒト検体への応用を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
教室共有の在庫試薬を用いることで支出が抑えられた。抗がん剤感受性解析費用に充てる。
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