研究課題/領域番号 |
23K08039
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
乾 政志 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40314918)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 腎移植 / リキッドバイオプシー / 拒絶反応 |
研究実績の概要 |
移植腎拒絶反応の診断のgold standardは移植腎生検である。近年、臓器ドナー由来の血中cell free DNA(donor-derived cell free DNA: dd-cfDNA)を検出する技術が報告された。米国での臨床研究にて、血中dd-cfDNA値と生検での拒絶反応の相関性が証明され、生検にかわる非侵襲的検査としての可能性が期待されている。しかしながら、非血縁間献体腎移植が主流の米国でのデータを血縁間生体腎移植が主流の本邦に直接応用することができるかは不明である。本研究では移植後1年目での腎生検前の50例で採血を行い、dd-cfDNA値と拒絶反応の相関を調べた。血縁、非血縁ドナー移植とを比較すると、拒絶あり群、なし群のどちらにおいても有意差はなく、本邦の腎移植コホートでも問題なく検査可能であることが示唆された。さらに検証を進めるため、特に拒絶反応発症リスクの高いHLA-incompatible kidney transplantation (HLA-I KTx)症例の術後3ヶ月、1年目のプロトコール生検時にdd-cfDNAを測定、dd-cfDNA値の推移と拒絶反応、およびde novo DSA発症との関連性を調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
移植後1年目での腎生検前の50例で採血を行い、dd-cfDNA値と拒絶反応の相関を調べたところ、拒絶反応、特に抗体関連型拒絶反応を認めた症例でdd-cfDNA値が有意に高いことが確認された。血縁、非血縁ドナー移植とを比較すると、拒絶あり群、なし群のどちらにおいても有意差はなく、本邦の腎移植コホートでも問題なく検査可能であることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
特に拒絶反応発症リスクの高いHLA-incompatible kidney transplantation (HLA-I KTx)症例において、術後3ヶ月、1年目のプロトコール生検時にdd-cfDNAを測定する。これにより、より早期に拒絶反応を同定できるか、また経時的変化がその後のde novo DSA発生リスクと相関があるかを検証する。さらに、dd-cfDNA高値の症例でのtranscriptome解析を行うことで、拒絶反応の診断精度を高めることができないかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度は予備実験として行った50症例でのdd-cfDNA解析から、追従実験に必要な患者コホートの検証を行い、対象患者の検体採取を開始している。今年度もCOVID-19の第9波の影響により移植腎生検の予定が遅延しており、dd-cfDNA解析が次年度へ繰越となっている。
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