研究課題/領域番号 |
23K08049
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
遠藤 翔 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (20801749)
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研究分担者 |
寅田 信博 九州大学, 大学病院, 臨床検査技師 (00398075)
進藤 幸治 九州大学, 大学病院, 講師 (00788432)
仲田 興平 九州大学, 大学病院, 准教授 (30419569)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 膵癌肝転移 / 癌間質相互作用 / 腫瘍微小環境 / オルガノイド / 癌関連線維芽細胞 / 転移巣支持ニッチ |
研究実績の概要 |
膵癌は非常に予後不良な疾患であり、その理由として高い転移・再発率、および低い治療奏功性が挙げられる。術後の半数が肝転移で再発する上に、膵癌肝転移に対する化学療法の完全奏効率は依然として低く、膵癌肝転移の制御は喫緊の課題である。膵癌を取り巻く腫瘍微小環境は化学療法抵抗性に寄与していると考えられており、その解明は化学療法抵抗性の改善につながる。本研究では膵癌肝転移における肝微小環境に着目し、三次元組織立体構造体であるオルガノイドを作成、また膵癌肝転移巣から主要な間質細胞である肝星細胞を分取し、肝微小環境における癌間質相互作用を再現・解析し、膵星細胞との比較を行うことで膵癌肝転移成立・維持機構を解明する。今年度は膵癌肝転移モデルマウスを作成し、免疫染色で肝転移微小環境を評価した。正常肝と比較して、肝転移巣ではαSMAの発現が増加しており癌細胞によって活性化したmyCAFの存在を確認した。膵癌微小環境と肝転移微小環境のそれぞれの間質細胞、免疫細胞については評価中である。 また、膵癌細胞のphenotype毎による肝微小環境中のCAFや免疫細胞については現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画に基づき、膵癌肝転移マウスモデルを作成した。しかし癌細胞の種類によって、生着率に差があったためまずは安定した肝転移モデルを作成できる膵癌細胞の同定、手技の確立を目指した。また、免疫染色によって膵癌微小環境と肝転移微小環境のそれぞれの間質細胞、免疫細胞を評価中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に基づき、①肝転移オルガノイドを作成する。②肝転移オルガノイドと膵癌オルガノイドをそれぞれHSC、PSCと共培養し、比較することで転移巣支持ニッチ因子の特定を行う。③化学療法投与試験および投与前後でのメタボローム解析、プロテオーム解析を行い転移に関わる代謝関連因子や液性因子を比較し解析する。②と③で同定した転移巣支持ニッチ因子の中和抗体や液性因子の阻害剤と既存の抗癌剤療法を併用し、膵癌肝転移マウスモデルに投与する。化学療法単独群と併用群を比較し、化学療法抵抗性改善に寄与するか評価予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に遅れを生じているため。次年度は研究用試薬、器材、マウス費などに使用予定である。
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