研究課題/領域番号 |
23K08069
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
長谷川 利路 鳥取大学, 医学部附属病院, 教授 (20294085)
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研究分担者 |
中曽 一裕 鳥取大学, 医学部, 教授 (30379648)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 短腸症候群 / IFALD / xCT / 腸管不全 / 肝クッパ―細胞 |
研究実績の概要 |
短腸症候群等の腸管不全に伴う肝障害(IFALD)に、各種ストレス環境下でのみマクロファージに発現するシスチン・グルタミン酸交換系トランスポーター「xc-系」とその構成分子xCTが肝マクロファージであるKupffer細胞に発現し、これがIFALDの発症に関与するか否かを検討した。方法は週令4週以降、体重5-25gのC57BL6雄性マウスを用い、開腹の上トライツ靭帯から回腸末端までの小腸80-90%を切除し端々吻合した。全41匹に施行しうち37匹に全層一層吻合が7匹に漿膜筋層が行われた。全層一層吻合を行ったwild type(n=16)に比し、xCT-KO(n=21)では生存率が高く、カプランマイヤーLogrank検定で有意差がみられた(p=0.03)。術後1日目でwildの死亡率が高く、それ以降はwild、xCT-KO共に同様の死亡原因のように見られた。術後1日目での死亡は剖検の結果多くが吻合部からの漏れ、それに伴う敗血症が原因と考えられた。術後14日目の採血は、全体で比較すると間接ビリルビン、ALTがxCT-KOで高値となる傾向にあった。肝組織ではwild typeの数匹で脂肪肝と炎症像がみられ、IFALDの病態を表していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回週令4週以降、体重5-25gのC57BL6雄性マウスを用い、開腹の上トライツ靭帯から回腸末端までの小腸80-90%を切除し端々吻合した。マウスの短腸症候群モデルを作成することは極めて難しく、これまでの多くの施設では、サイズの大きいラットを用いた実験が殆どである。全41匹に施行しうち37匹に全層一層吻合が7匹に漿膜筋層が行われ、長期生存例も得られている。全層一層吻合を行ったwild type(n=16)に比し、xCT-KO(n=21)では生存率が高く、カプランマイヤーLogrank検定で有意差がみられているが、術後1日目でwildの死亡率が高く、それ以降はwild、xCT-KO共に同様の死亡率のように見られた。術後1日目での死亡は剖検の結果多くが吻合部からの漏れ、それに伴う敗血症が原因と考えられた。xCTをKOすることで何らかの理由で吻合腸管が漏れにくくなっているのか、もしくは敗血症に対する耐性がつくなどの要因が考えられる。術後14日目の採血は、全体で比較すると間接ビリルビン、ALTがxCT-KOで高値となる傾向にあった。x CT-KOでKもやや高い傾向があることから、KOすることで赤血球の膜安定化が低下し、溶血しやすくなっている可能性がある。肝組織ではwild typeの数匹で脂肪肝と炎症像がみられ、IFALDの病態を表していると考えられた。マウスにおいて短腸症候群モデルの確立が得られたこと、採血や犠死した肝臓の標本から解析が順調に進んだことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
今回の検討では、wild typeに比し、xCT-KOでは生存率が高く、カプランマイヤーLogrank検定で有意差がみられているが、術後1日目でwildの死亡率が高く、それ以降はwild、xCT-KO共に同様の死亡率のように見られた。術後1日目での死亡は剖検、結果多くが吻合部からの漏れ、それに伴う敗血症が原因と考えられた。xCTをKOすることで何らかの理由で吻合腸管が漏れにくくなっているのか、もしくは敗血症に対する耐性がつくなどの要因が考えられる。またIFALDに関し、剖検での肝組織ではwild typeの数匹で脂肪肝と炎症像がみられ、IFALDの病態を表していると考えられた。しかしながら、術後14日目の採血は、全体で比較すると間接ビリルビン、ALTがxCT-KOで高値となる傾向にあった。x CT-KOでKもやや高い傾向があることから、KOすることで赤血球の膜安定化が低下し、溶血しやすくなっている可能性がある。今後腸管の組織像、並びに腸内細菌叢の培養などの検討、赤血球の形態などへの影響についても検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度以降も動物実験と結果の解析を行う必要があり、動物と飼代、薬品等を購入する必要がある。また成果の発表については、未だ完成しておらず、次年度以降に予算を執行する予定である。
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