研究課題/領域番号 |
23K08072
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
森根 裕二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (60398021)
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研究分担者 |
池本 哲也 徳島大学, 病院, 教授 (20398019)
山田 眞一郎 徳島大学, 病院, 特任助教 (30579884)
齋藤 裕 徳島大学, 病院, 講師 (50548675)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 癌微小環境 / exosome / Nrf2 |
研究実績の概要 |
癌微小環境には癌細胞・癌関連線維芽細胞(CAF)・癌関連マクロファージ(TAM)それぞれが相互干渉するトライアングルを形成しており(Cancer cell-CAF-TAM triangle interaction)、複雑な細胞間コミュニケーションを形成している。最近では、その細胞間コミュニケーション因子として、exosomeが注目されている。また我々はそのターゲット因子として想定したNrf2 addictionが癌細胞・CAF・TAMすべての癌微小環境主要構成細胞において誘導されていることを証明している。 本研究ではCancer cell-CAF-TAM triangle interaction機序解明に関して、コミュニケーション因子としてのexosomal micro RNAやターゲット因子として特にNrf2 addictionに着目して検討する。 まず、肝細胞癌細胞株からlenvatinib耐性株(3~4倍耐性)を作成した。その耐性機序にとして、Nrf2活性化による幹細胞様特性の獲得や、PINK1誘導によるマイトファジー制御の可能性が示された。癌微小環境に関して、まずlenvatinib耐性肝細胞癌-naive肝細胞癌におけるexsosomal microRNA(miR)について検討した。lenvatinib耐性肝細胞癌はnaive肝細胞癌の腫瘍悪性度とともにlenvatinib耐性能も増強するが、PTEN-Nrf2経路と関連するmiR132に着目し、exosomal miR132阻害したところ、それらの悪性度増強効果はキャンセルされた。今後は、TAMやCAFとのinteractionについても検討を加える予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記実験系において、癌微小環境における薬剤耐性株の影響を検討し、exosomal miRNAや転写因子Nrf2の関与を証明することができた。耐性株の樹立や、exosome抽出法(超遠心法)など、本研究に必要とされる手技についても安定して行うことができている。さらに癌微小環境における薬剤耐性株の一定の役割を証明することができたことは、研究計画を加速させるものである。今後は、TAMやCAFとのinteractionについても検討を加える予定である。 以上により概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
lenavatinib耐性株から耐性TAMや耐性CAFを誘導する。通常のTAM・CAFをコントロールとして、悪性度・薬剤耐性能誘導効果を確認する。コミュニケーション因子としてこれまでと同様にのexosomal micro RNAに着目して、Cancer cell-CAF-TAM triangle interaction機序について検討をしていく予定である。
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