研究課題/領域番号 |
23K08076
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
三階 貴史 北里大学, 医学部, 教授 (00375685)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 乳癌 / トリプルネガテブ乳癌 / 癌抑制遺伝子 / マイクロアレイ / 新規分子標的 |
研究実績の概要 |
乳癌における CDO1遺伝子メチル化が予後不良を示すことから、CDO1遺伝子の分子機序を明らかにする目的で研究を進めている。CDO1遺伝子メチル化は乳癌細胞における発現低下と関連していることから、乳癌の癌抑制遺伝子と考えられる。われわれは、乳癌の中でも特に悪性度が高いことで知られる triple negative 乳癌 (TNBC)において CDO1遺伝子がどのような分子機序で癌抑制を行うかを探求している。TNBCの株化細胞において CDO1遺伝子を安定発現する株化細胞を樹立し、表現型の変化(癌抑制機能)や遺伝子変化を明らかにする。これらの変化の中で表現型の変化を説明する遺伝子異常を同定することが最も重要な目的である。現在までにCDO1発現安定細胞株を2細胞樹立することに成功しており、マイクロアレイによる発現変化プロファイルを得ている。これらの細胞株は mock細胞株に比較して増殖速度が遅いことが判明した。また、下流で増加する遺伝子として多数の標的遺伝子候補を同定した。これまでに band PCRを用いた発現変化の確認を8個の遺伝子について行い、1個の遺伝子については qPCRによる定量的解析でその変化を確定した。これらの遺伝子は癌抑制的機能を有する下流遺伝子と考えている。一方で、下流で発現低下する遺伝子にも注目している。これまでに8個の遺伝子について qPCRで発現変化を検証しそのうちの全てがマイクロアレイの結果と一致するわけではないことを確認している。これらの遺伝子はCDO1遺伝子が抑制している癌原経路遺伝子と考えられる。つまり、CDO1遺伝子が発現を抑制する癌原遺伝子こそが CDO1遺伝子の癌抑制遺伝子の機能を説明するものであり、その分子機序として癌抑制遺伝子群の影響があると想定される。今後は、表現型変化と癌原遺伝子の関連から新規分子標的を明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究を担当する大学院生の家庭の事情から進捗が遅れている。他の大学院生のサポートにより一部進捗をカバーしているが、完全補填にはおよんでいない。
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今後の研究の推進方策 |
大学院生の家庭の事情の問題は解決しているため研究を再開できている。今後は、標的遺伝子の中で臨床的に重要な遺伝子を絞るために public databaseを用いて遺伝子を絞り込みさらなる検証を進めたいと考えている。進捗が遅れていた間にこの新たな研究推進法が有用なことが判明してきたため遅れを取り戻せると考える。表現型を説明する遺伝子変化の同定と臨床的意義を含めた遺伝子経路の確定は乳癌治療標的を明らかにするうえで有用と考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究に携わる大学院生の家庭の事情で研究が遅れ次年度使用額が生じました。現在は研究に復帰できる状況になっているので問題なく後れを取り戻せると考えられます。
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