研究課題/領域番号 |
23K08077
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
長谷川 康 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60383832)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 腸内細菌 / 肝移植 |
研究実績の概要 |
初年度に行う研究として,検体の収集と腸内細菌叢の解析を計画した.移植後患者13人から糞便を回収し,そのうち8例の解析を行った.8例の原疾患の内訳は原発性硬化性胆管炎(PSC)4例,非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)3例,原発性胆汁性胆管炎(PBC)1例であった.便から採取できた核酸(中央値,範囲)は7.8 ng/uL (4.1-17.3 ng/uL)であった. PSCと関連が深いとの報告があるKlebsiella pneumoniae (Kp)について定量測定を行ったところ,8例中6例からKpが検出された.内訳はPSCが4例中2例,NASHが3例中3例,PBCが1例中1例であった.Kpが検出された6例における便1g中の菌数は780635 cells/g (2790-13480289 cells/g)であった.Kpが検出されなかったPSC患者2例は移植前の便培養ではKpが検出されていた.肝移植により腸内細菌叢が変化した可能性がある. Enterococcus gallinarum(Eg)について定性解析を行ったところ,8例中5例からEgが検出された.内訳はPSCが4例中3例,NASHが3例中2例であった.定量解析は今後行う予定である. 今後,肝移植前後のKpおよびEgの変化が肝移植後の肝機能にどのような影響があるかについて検討を進めていく.そのために,より多くの患者から検体を採取する必要があると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
移植後患者の糞便採取数が少ない.
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今後の研究の推進方策 |
移植後患者の糞便採取を進める. 本年度から研究費が増えるため,可能な解析が増加する.
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次年度使用額が生じた理由 |
残額では必要な解析の費用が足りなかったため,残額と次年度交付分を合わせて使用する計画とした.
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