研究課題/領域番号 |
23K08079
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
石田 英樹 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60246543)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 腎移植 / ABO不適合 / 補体結合能 |
研究実績の概要 |
ABO血液型不適合腎移植は、術前に抗ABO血液型抗体(Anti-ABO blood type antibody: ABO- Ab)を除去することで安全に実施することができる。しかし、稀に術前ABO-Ab抗体価に関係なく超急性拒絶反応(Hyper Acute Rejection: HAR)により移植腎機能喪失となる不幸な症例に遭遇する。このことからABO-Abの量(抗体価)だけでなく質(補体結合能など)が拒絶反応発症に関与していることが示唆されるが、その詳細は未だ不明である。そこで本研究では、ABO-Abの補体結合能を評価するため、ABO-Abの補体C1q結合試験(ABO-C1Q)を行った。すると、HARを発症した症例ではABO-Ab抗体価が低下しているにも関わらず、ABO-C1q活性が高いままであったことが判明した。さらに我々は、術前脱感作療法として大量免疫グロブリン療法を受けた患者のABO-C1q活性を評価したところ、IvIG使用群ではABO-C1q活性が低下していたことが確認できた。ABO-C1q活性と抗体関連型拒絶反応の関連、およびIvIG投与による補体活性制御のメカニズムを明らかとすべく検証を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年1月から2023年9月までで血液型不適合移植の59症例について、脱感作療法前後のABO-Ab抗体価、ABO-C1q結合能を評価した。IVIG非投与群が21症例、投与群が38症例であり、IvIG投与後に有意にC1q活性のみが低下することが確認されている。またIvIG投与群では急性抗体型拒絶反応の発症率が低く、C1q活性低下との因果関係が示唆されている。
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今後の研究の推進方策 |
IvIGがレシピエント免疫に与えた影響を調べるべく、IvIG投与前、投与後の採血の血中転写因子活性を網羅的に解析する。得られたデータの発現変動遺伝子解析、Cybersort解析によるターゲットPhenotypeを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画初年度の予定として、ABO不適合移植患者での術前ABO-C1q採血の収集のプロトコールを確立し、いくつかの検体で解析を行った。結果からRNA解析のために新たな検体採取が必要な対象患者を選定しているが、採血のために新たに倫理委員会承認が必要となった。検体回収に時間を要しており一部解析が次年度繰越となった。
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