研究課題/領域番号 |
23K08085
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
三浦 宏平 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70733658)
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研究分担者 |
小林 隆 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40464010)
坂田 純 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70447605)
滝沢 一泰 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30706437)
石川 博補 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80769399)
安部 舜 新潟大学, 医歯学総合病院, レジデント (80921527)
河内 裕介 新潟大学, 医歯学総合病院, レジデント (60988913)
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
三浦 詩織 新潟大学, 研究統括機構, 特任助教 (30833264)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 膵島移植 / 血管新生 / 脂質メディエータ / S1P / 自家移植 |
研究実績の概要 |
2023年度は、In vitro実験としてブタ膵臓よりRicordi法で膵島を分離し、UW液にて保存することで、ブタ膵島の分離と長時間の保存が可能であることを確認した。In vivo実験として6頭のブタ自家膵島移植モデルを作製した。20kgのブタで膵亜全摘術(80%膵切除)および脾臓摘出術を実施した。切除膵の主膵管から逆行性にコラゲナーゼを注入し膵実質を膨化させたのち、Ricordi法にて膵島を分離した。ドナーブタの脾静脈からカニュレーションし、分離した膵島を膵島混濁液として経門脈的に肝内に自家移植した。本モデルをコントロール群(n=2)とし、FTY720 0.5mg/kgを膵島移植後5日間連続で経静脈投与するFTY群(n=4)を作成した。28日間生存モデルとし、両者の血糖値とケトン値の連日の推移、活動性、および移植後28日目の経静脈ブドウ糖負荷試験の結果を比較した。また、移植後28日目に摘出した肝臓の組織に生着する膵島数を測定するため、現在標本を作製中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vitro実験にてブタ膵島に添加するFTY720の至適濃度を決定する予定であったが、FTY720はすでにヒト臨床で使用されている薬剤であり、用法容量に関する十分な検討がなされていることから本過程を省略した。また、In vivo実験では当初MHC確率ミニブタによる同種膵島移植実験を行う予定であったが、免疫抑制剤の毒性によりFTY720の膵島生着に及ぼす影響が正確に評価できない可能性を鑑み、自家膵島移植モデルに変更した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、FTY群における生着膵島の数、耐糖能(インスリン、C-ペプチド、血糖値、経静脈ブドウ糖負荷試験)、肝機能、腎機能、炎症マーカー(ELISA法、PCR法によるHMGB-1、IL-1β、IL-6、TNF-α)をコントロール群と比較する。膵島生着部位のS1P発現については、pSphK1免疫染色による定性、LC-ESI-MS法による定量で比較する。膵島の血管新生の程度については、CD31抗体による免疫染色で観察し比較する。膵島障害の指標として「膵島周囲の炎症細胞浸潤(HE染色)」、「インスリン分泌能低下(免疫染色)」の有無を観察し両群間の違いを比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
脂質メディエータS1P受容体作動薬FTY720によるブタ膵島の共培養実験(in vitro実験)を研究の第一段階として先行して行う予定であったが、FTY720はヒト臨床にすでに使用されている薬剤であり至適濃度決定のための実験は不要と考え省略した。また、ブタ膵島移植実験を同種移植から自家移植に変更したため、免疫抑制剤が不要となった。実験計画の変更に伴い、当初必要と思われた薬剤や物品費用が不要となった。一方で、当初予定していなかったブタ膵臓、ブタ肝臓の生サンプルによるRNA解析などの実験計画が追加されたため、翌年度分として当該実験に使用する予定である。
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