研究課題/領域番号 |
23K08088
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田附 裕子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10397698)
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研究分担者 |
奥山 宏臣 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30252670)
東堂 まりえ 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50882239) [辞退]
高瀬 洪生 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80961763)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 腸管不全 / 肝機能障害 / 中心静脈栄養 / GLP-2 / IGF-1 |
研究実績の概要 |
中心静脈栄養を必須とする腸管不全患者では容易に肝機能障害が惹起されるため、肝機能障害を回避・改善するための有効な治療法が切望されている。近年、腸管不全(短腸症)の中心静脈栄養の減量を目的とした新規治療薬:GLP-2アナログ製剤(GLP-2)が使用可能となったが、GLP-2の腸管粘膜増生にはインスリン様成長因子-1(IGF-1)の関与が必須であることが指摘された。このIGF-1は本来GHに関連した肝臓で合成される細胞成長促進因子であるが、近年NASHや肝線維化モデルにおいて肝再生だけでなく肝線維化を抑制することが報告された。しかし、短腸症の新規治療薬であるGLP-2の投与により誘導されるIGF-1により肝機能障害が軽減する可能性については未だ研究されていない。 本研究では、GLP-2により誘導されたIFG-1の肝細胞の庇護作用および肝星細胞の活性抑制作用について検討する。 方法:①腸管不全の肝障害モデルをとして、中心静脈栄養モデルおよび短小腸モデルの2つを作成する。②腸管不全における肝障害モデルにおいてGLP-2を投与し、IGF-1およびIGF-1Rの小腸および肝臓での発現の変化を検討する。③肝機能障害の評価を血液生化学検査等で評価し、摘出腸管においては腸管幹細胞の発現とともに肝細胞の周期に対する影響を評価する。 今後、GLP-2投与により間接的に肝機能障害が軽減される可能性が明らかになれば、短腸症を含めた腸管不全患者において使用されるGLP-2を消化管の吸収改善目的だけでなく、IGF-1の誘導という観点から慢性的な腸管不全関連肝障害に対する治療法の可能性が広がる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
中心静脈栄養のモデルにおいてTaqMan MicroRNA Kit を用いてmicroRNAの抽出を行い、PCRで有意なmicroRNAのプロファイリングを行った。短腸症においては生存性が安定しないため、短腸症としての安定性が欠けるため、microRNAのプロファイリングに至っていない。今後、モデルの生存の安定性が得られたら、研究を推進させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
中心静脈栄養および短腸症のモデル作成が安定したら、GLP-2により誘導されると予測されているIFG-1の肝細胞の庇護作用および肝星細胞の活性抑制作用について検討する。 具体的には、腸管不全の肝障害モデルをとして、中心静脈栄養モデルおよび短小腸モデルの2つを安定して作成し、安定した腸管不全における肝障害モデルにおいてGLP-2を投与し、IGF-1およびIGF-1Rの小腸および肝臓での発現の変化を検討する。その後、肝機能障害の評価を血液生化学検査等で評価し、摘出腸管においては腸管幹細胞の発現とともに肝細胞の周期に対する影響を評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験におけるモデル作成の安定性が得られないため、手術手技などの見直しを行った。同時に、実験実施環境の変化(工事、実験室の汚染)などが重なり、実験の再開・継続、モデル作成の継続が困難であった。そのため、保存検体を使用して、解析をすすめたが、それに対する消耗品2023年度において購入の必要性はなかった。2024度より積極的に再開予定である。
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