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2023 年度 実施状況報告書

担癌生体における好中球の動態に及ぼすポリアミンの影響とその臨床的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K08096
研究機関自治医科大学

研究代表者

金丸 理人  自治医科大学, 医学部, 助教 (10625544)

研究分担者 北山 丈二  自治医科大学, 医学部, 教授 (20251308)
寺谷 工  自治医科大学, 医学部, 講師 (70373404)
熊谷 祐子  自治医科大学, 医学部, 助教 (30625554)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードポリアミン / 癌細胞 / 好中球細胞外トラップ
研究実績の概要

ポリアミンは癌患者の血中や組織中に高濃度に存在し、癌細胞の増殖・浸潤を刺激するだけでなく、免疫抑制性微小環境を形成することで癌の進行を促進することが解っており、ポリアミンの合成や吸収の阻害が癌治療になりうることが示唆されている。好中球細胞外トラップ(Neutrophil extracellular traps; NETs)は、本来の生体防御作用に加えて、血小板や癌細胞なども効率的に捕捉し、細胞外基質を修飾することで、癌の進行や転移に関わっていることが解ってきた。しかし、好中球の動態に対するポリアミンの影響は詳細には検討されていない。本研究では、ポリアミンが、好中球のNETsを介して免疫学的環境にどんな変化をもたらすのかを明らかにし、新しいがん治療法の開発に繋げることを目指す。今年度は、1)ヒト末梢血好中球のポリアミン添加によるNETs形成の有無、2)マウス胃癌細胞株(YTN16P2)のポリアミン添加の影響、3)CD57BL6マウスのYTN16P2による腹膜播種形成数や免疫細胞の割合の変化について、ポリアミンの有無で比較検証した。1)ヒト末梢血好中球にポリアミンを添加後数時間培養し、膜非透過性DNA染色液SYTOX Greenを添加し蛍光顕微鏡で確認したが、NETs形成は認めなかった。2)YTN16P2にポリアミンを添加すると、培養液中のウシ血清と反応し、毒性物質が産生され、癌細胞株のアポトーシスが起きた。3)ポリアミン食の有無で、播種数に有意差を認めなかった。骨髄細胞をHistopaque液で比重遠心分離し、中間層の低比重好中球(LDN;low density neutrophil)と最下層の正常比重好中球(NDN;normal density neutrophil)を確認すると、担癌状態でLDNの割合は有意に上昇していた。ポリアミン食の有無で差を認めなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度は、参考関連文献の検索、実験に必要なポリアミン(スペルミン・スペルミジン)、抗体・ポリアミン食・DFMOなどの実験試薬を購入した。In Vivoの予備実験を中心に進めた。

今後の研究の推進方策

1)ポリアミン添加によるNETs形成に必要な条件検討を行う。培養条件(培養時間、血清の有無、PMA・Ca2+・LPSなどの刺激の有無)を比較検討する。
2)無血清培地を用いて、癌細胞のポリアミン添加またはポリアミン合成阻害薬であるDFMO(α-difluoro-methyl ornithine)を用いて癌細胞の生存・アポトーシスの有無を検証する。
3)老齢マウスとして、生後50-60週齢マウスを用いて、ポリアミン食の有無での腹膜播種形成数や免疫細胞の割合変化を骨髄・脾臓・末梢血で確認する。また、好中球を分離し、担癌・非担癌・ポリアミン食の有無でNETs形成の有無を確認する。

次年度使用額が生じた理由

老齢マウスの購入に時間を要したため、当初予定していた使用額より少ない支出となった。
次年度は、老齢マウスを用いた実験を中心に行うため、ポリアミン食、抗体などの支出額が増加するため問題ないと考えている。

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公開日: 2024-12-25  

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