研究課題/領域番号 |
23K08115
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
内藤 慶 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00934770)
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研究分担者 |
大辻 英吾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20244600)
塩崎 敦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40568086)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | イオンチャネル / 低浸透圧 |
研究実績の概要 |
容積感受性外向整流性陰イオンチャネル(VSOR)の構成タンパク質LRRC8Aと、Na+/K+-ATPase (NKA)が複合体を形成し機能することが注目されている。これらの相互作用による容積調節メカニズム解明を低浸透圧療法に応用すべく、まず大腸癌におけるNKAの発現・機能解析を試みた。大腸癌細胞株HT29とCaco2に対してsiRNAを用いてNKAのknock downを行ったところ、細胞増殖能の低下を認めた。Cell cycle assayではsubG1期の細胞比率が増加しており、apoptosis assayにおいてearly/late apoptosisの増加を認めた。Wound healing assayでは遊走・浸潤能が低下していた。HT29を用いたマイクロアレイ解析では、NKAをknockdownすると、ERK5 signaling pathwayに関与する遺伝子の発現が変動していた。根治切除を行った結腸癌200症例において、免疫組織学的染色(IHC)を行ったところ、NKAは主に癌部の細胞膜に発現していた。発現強度をスコアリングしIHC score 1.6点以上を高発現群(110例)としたところ、臨床病理学的因子について、pTとの関連を認めた。5年無再発生存率に関しては、高発現群で有意に予後不良に関連していた。多変量解析においても、NKA高発現は独立した予後不良因子であった。これらの結果は、英文論文としてまとめ報告した(Ann Surg Oncol 30: 6898-6910, 2023)。同時に、大腸癌における陰イオンチャネルANO5や、Ca2+チャネルTRPV2、CACNA2D1、ANO5、TRPV2の機能解析も試みている。 一方で、食道腺癌幹細胞(Ann Surg Oncol. 2023)や肝細胞癌幹細胞(Anticancer Res. 2023)に特異的に発現するイオン輸送体を同定し、それらの阻害剤による抑制効果を解明し報告した。また、胃癌においてTRPV2がPD-L1の発現を制御し、PD-1への結合に影響を及ぼすことを解明した(Ann Surg Oncol. 2023)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画のうち、容積感受性チャネル蛋白LRRC8Aと複合体を形成するNKAの、ヒト大腸癌組織における発現解析、癌細胞における細胞周期・アポトーシス・細胞浸潤制御機構の解明などの基礎実験は、ほぼ終了している。また、消化管癌における種々のイオン輸送体の機能解析も進展しており、研究成果は既に国内外の学会で発表し、英文雑誌にも投稿・掲載されている。現在、大腸癌細胞株のLRRC8AとNKAの相互作用解析、ANO5、LRRC8A 、SLCO2A1発現調節(siRNA)と低浸透圧刺激に対する反応性の解析も進行しており、研究目的・研究計画はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、ヒト大腸癌細胞株におけるNKA、ANO5、LRRC8A、SLCO2A1、TRPV2、CACNA2D1のsiRNAや発現ベクターを用いた際の低浸透圧刺激に対する反応性(RVDや、低浸透圧殺細胞効果への影響)の解析を行う。また、温度刺激(低温・高温)によるLRRC8A、SLCO2A1発現変化・細胞内局在変化・低浸透圧刺激に対する反応性への影響を検証する。更に、マウス胸膜転移モデルを用い、in vivoにおけるイオン輸送体発現レベルによる低浸透圧細胞破壊療法反応性、温度が及ばす影響について検討する予定である。
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