研究課題/領域番号 |
23K08117
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
倉科 憲太郎 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70382900)
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研究分担者 |
北山 丈二 自治医科大学, 医学部, 教授 (20251308)
山口 博紀 自治医科大学, 医学部, 教授 (20376445)
齋藤 晶 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20721608)
大澤 英之 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60458271)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 腹腔免疫 / 腹膜播種 / 腹水 / 腹腔内化学療法 / フローサイトメトリー / 好酸球 / マクロファージ / T細胞 |
研究実績の概要 |
腹腔内には多種多様な免疫細胞が存在するが、腹膜播種(PM)の発症および進行の過程にどのように関与しているかは不明である。進行胃癌患者 122 名の腹水または腹膜洗浄液から単細胞懸濁液を採取し、CD45、CD326 (EpCAM)、CD45、CD11b、CD19、CD14、CD66b、CD163、CD3、CD8、CD4、CD56 に対する mAb で染色、 フローサイトメトリーを使用して、CD45(+) 白血球中の各免疫細胞の比率を評価した。 PM(-)患者と比較して、PM(+)患者のCD8(+) T細胞、CD3(-) CD56(+) NK 細胞、 CD3(+) CD56(+) NKT 細胞の頻度は有意に低く、CD19(+) B 細胞および CD11b(+) CD14(+)マクロファージは有意に増加していた。 PM(+)患者のマクロファージはCD16、CD163を高度に発現しており、サイズが大きく顆粒を豊富に含んでいた。また、アレイ分析により、 CCL13、CCL23、IL-6 の発現が高い一方で、CCR2、CCR3 の発現が低下していた。 S-1/オキサリプラチン+PTX腹腔内投与併用療法を受けた15症例の治療前後で免疫細胞の割合を比較したところ、治療後に好酸球の割合が増加していた(p=0.0006)。治療開始後に細胞診が陰性であった11例と陰転化しなかった4症例とで検討すると、前者では有意な好酸球の割合の増加を認めたのに対し、後者では有意な増加は認めなかった。 腹腔内の免疫微小環境は PM の存在によって大きく変化する。 PM 形成の過程で、多くの CD16(+) CD163(+)マクロファージが腹膜腔に出現し、これが PM の発症に関与している可能性がある。また、腹腔内化学療法後には好酸球が増加しこれが治療の奏功に関与している可能性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腹膜播種の存在によって腹腔内の免疫微小環境が大きく変化すること、特にマクロファージの質と量が変化することが確認できた。また、腹腔内化学療法後に好酸球が増加し、治療効果と関連する可能性があることも新たに検出できた。
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今後の研究の推進方策 |
腹腔内化学療法後の腹腔内に誘導される好酸球の性質を表現型やmRNAの発現について検討し、治療の奏功性との関連性を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたよりも物品費が安価に収まったため、余剰が発生した。 来年度以降は、腹腔内に誘導される好中球の性質検討のための実験で使用する試薬や消耗品に使用する予定である。
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