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2023 年度 実施状況報告書

脂肪消化吸収能と人工膵臓を用いた新しい膵切除の治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 23K08120
研究機関藤田医科大学

研究代表者

堀口 明彦  藤田医科大学, 医学部, 教授 (40257621)

研究分担者 稲田 健一  藤田医科大学, 医学部, 教授 (70246081)
浅野 之夫  藤田医科大学, 医学部, 准教授 (80351047)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード脂肪消化吸収能 / 人工膵臓 / 膵切除 / 13C-Trioctanoin呼気試験 / 術後合併症
研究実績の概要

わが国ではMD-CTの発達に伴い膵疾患の発見率が上昇し、手術数は顕著に増加した。一方、充実性膵癌は極めて予後不良な癌であるが、術前術後補助療法の開発により、生存率も向上した。膵癌の治療戦略は早期診断と外科切除、術後早期の補助化学療法である。また、低悪性度の腫瘍は、過不足のない術式、術後合併症が少ない術式の考案が重要である。膵切除術では膵実質の減少は避けることはできないため、消化吸収障害に対する対策が必要である。また膵頭十二指腸切除術後の脂肪肝も術後合併症の一つである。一方、膵酵素剤が開発され、膵腫瘍術後に投与することで、消化吸収能を保つことが可能となり、膵腫瘍膵切除術後のQOLは向上した。膵癌に対する術式は膵頭十二指腸切除などであり、膵以外を切除する術式がほとんどである。膵頭十二指腸切除は術後の小胃症状、ダンピング症候群などの消化吸収障害が術後合併症として発症すると術後早期の補助化学療法を阻害する。膵全摘術は外分泌機能である消化吸収障害のみならず、内分泌機能にも障害をおこす。現在、膵外分泌機能を簡便に評価できる方法は少ないが、安定同位体である13C-Trioctanoin呼気ガス診断を応用した検査法は、簡便であり、非侵襲的で安全な検査法である。膵腫瘍の術前後における13C-Trioctanoin呼気試験及び、残膵繊維化程度別で術式別脂肪消化吸収能を解明し、さらに術後の膵消化酵素剤の補給が与える効果を検討し、膵癌の術後早期に化学療法を行うための評価指標を検討する。また、術後人工膵臓を用いてインスリン必要量、インスリン抵抗値(IRI)などを測定し、内分泌機能を検討する。本研究により手術時の膵繊維化の程度により、13C-Trioctanoin呼気試験の結果より適正な膵酵素投与量が把握でき、新しい診断治療体系の確立につながり、膵癌に対して術後早期の化学療法が可能となるものと考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の対象患者は、膵腫瘍患者であり膵頭十二指腸切除術、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術、脾臓合併尾側膵切除術、膵全摘、十二指腸温存膵頭切除術を受ける患者である。年間約30例を予定している。2023年4月1日から2024年3月31日までに行われた膵疾患のうち、術後に人工膵臓を用いて血糖管理をした症例は23例であった。また13C-Trioctanoin呼気試験も行われた。術後合併症として膵液瘻や腹腔内膿瘍は数例に認めたが、全例軽快した。人工膵臓と13C-Trioctanoin呼気試験による有害事象は認めなかった。コロナ禍の影響もあり当初予定した30例には満たなかったが、2023年5月よりCOVID-19感染症が5類となったため、当初予定している年間30例は達成できると考えられる。

今後の研究の推進方策

研究計画の変更は現時点ではない。しかし研究を遂行する上での課題は、膵疾患の集積である。早期膵癌を発見するために近隣の施設などと連携するため、地域連携勉強会や講演会で積極的に発信している。

次年度使用額が生じた理由

呼気試験で使用する薬剤は海外から調達するため、2023年度は以前の試薬残薬があったため調達をしなかった。しかし2024年度は試薬を調達する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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