研究課題/領域番号 |
23K08122
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
西澤 祐吏 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 室長 (50545001)
|
研究分担者 |
山本 徳則 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (20182636)
増田 均 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 科長 (60323680)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | モデル動物 / 再生医療 / 排便機能障害 / 直腸癌 / 足場材料 |
研究実績の概要 |
下部直腸癌の術後合併症として発症することが多い術後排便機能障害(便失禁)の患者に対する治療法は、薬物治療や骨盤底筋のリハビリテーション等の保存的療法以外には永久人工肛門の造設しか選択肢がない。そのため、自身の肛門機能を利用するためには、再生治療に頼らざるを得ない。本研究課題は、培養した脂肪組織由来幹細胞(ASCs)を用いた便失禁に対する再生治療法の開発が目的である。動物モデルによる評価が重要であるため、本研究では、機械的肛門拡張によって括約筋を損傷させたラットが便失禁モデルラットとして有用であるか評価する。 【方法】SD系統の雄ラットを用いて、イソフルレン吸入麻酔下に直径9.5㎜のダイレーターを肛門から挿入して拡張した。2分間拡張を維持した後にダイレーターを抜き、1分後に再度肛門にダイレーターを1分間挿入して肛門拡張を終了した。肛門拡張後は抗生物質を皮下投与した。肛門拡張の1、2、4、6週間後に肛門閉鎖圧(APP)および肛門電気刺激下肛門閉鎖圧(ES-APP)を測定した。 【結果】APPは、肛門拡張1週間後から6週間後まで、無処置コントロール群よりも有意に低下していたが、時間経過とともに回復傾向にあった。ES-APPは、無処置コントロール群と比べて肛門拡張1-2週間後は有意に低下していたが、肛門拡張4-6週間後には無処置コントロール群と同等のレベルまで回復していた。 【まとめ】本研究で作製したモデルラットは、肛門拡張から6週間経過後も損傷した肛門組織の自然治癒に至らなかったことから、排便機能障害モデルラットになり得ることがわかった。今後は、このラットを活用して次期年度に予定している足場材料の検討を研究していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定の通り、おおむね順調に進展している。モデル動物を用いた足場材料の評価実験を今年度行うための、準備が完了したので、問題ないと考えている。モデル動物の組織評価は今年度も継続して実施していく。
|
今後の研究の推進方策 |
モデル動物の評価が完了したので、このモデル動物を用いた足場材料に関する検討を、実験施設と連携して実施する予定である。足場材料の選定を年度当初に完了して、実験実施が今年度内に終了するようにすすめて行く予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通りの使用額であるが、残額が次年度使用額となった。今年度の予算計画と合わせて、実験等の費用の一部として計画的に使用する。
|