研究課題/領域番号 |
23K08123
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
秋田 裕史 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 消化器外科 副部長 (70528463)
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研究分担者 |
山本 拓也 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 難病・免疫ゲノム研究センター, センター長 (60752368)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 膵癌 / 腫瘍関連抗原特異的免疫反応 / 膵癌患者由来末梢血単核球細胞 |
研究実績の概要 |
膵癌で発現する腫瘍関連抗原(TAA)を選択するために、膵癌ペプチドワクチンとして報告のあるCEA(CEACAM5)、MUC1、TERT、WT1に加え、他癌で報告のあるNY-ESO-1(CTAG1A)、TRP2(DCT)を候補として検討した。RNAシークエンスの公開データベースではCEACAM5、MUC1、TERT、WT1の発現を認め、CTAG1A、DCTの発現は認めなかった。さらに6種の膵癌細胞株(BxPC3、MiaPaCa2、Panc1、PSN1、SUIT2、TYPK1)でqRT-PCRによるmRNA発現を確認したところ、これら4種の発現は、CTAG1A、DCTと比較して、少なくとも1種類以上の細胞株で有意に上昇していた。そのため、以降の実験では、これらCEA、MUC1、TERT、WT1抗原に対するCD8+ T細胞反応に着目することとした。TAA特異的CD8+ T細胞の検出は、フローサイトメトリーでIFNγと4-1BBを指標とし、TAA刺激なしの各マーカー陽性率から差し引き0.01%以下は検出なしと扱った。TAA特異的CD8+T細胞の各分画と術前治療効果(治療前後の腫瘍縮小率、腫瘍マーカー(CA19-9)の減少率、切除検体を用いた病理学的効果)との相関を評価したところ、術前治療前後のCA19-9の減少率と、IFNγ+4-1BB+ CD8+ T細胞の検出率が強く相関していた(R=-0.556、p=0.011)、さらに治療経過中(術前治療前、術前治療後、切除後)にPBMCを採取し、膵癌切除後の治療成績との相関を評価した(n=20)。切除後のPBMCにおいてTAA特異的IFNγ+4-1BB+ CD8+ T細胞が検出された患者は、検出されなかった患者に対し、無再発生存率が有意に良好であった(2年無再発生存率: 75% vs 42%、p=0.041)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
患者からの採血および患者由来PBMCの精製を行う実験助手が不足し、一時、十分な採集が出来なかったため。
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今後の研究の推進方策 |
患者由来PBMCの解析を進めるとともに、患者由来の膵癌のprimary cultureも行っており、ex vivoでの免疫応答反応の評価を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が予定より遅れたことで、PBMC精製などの物品費が減少したため、未使用が生じた。次年度は、さらに多くのPBMC精製と解析を進める予定であり、その物品費ならびに解析費用に充当する予定である。
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