研究課題/領域番号 |
23K08124
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
脇屋 太一 自治医科大学, 医学部, 講師 (50571246)
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研究分担者 |
石戸 圭之輔 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (00436023)
袴田 健一 弘前大学, 医学研究科, 教授 (30271802)
吉澤 忠司 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (70761071)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 代謝免疫相互作用 / 空間トランスクリプトーム解析 / 消化器癌 / 膵臓 / 免疫療法 / 代謝制御 |
研究実績の概要 |
膵癌の予後向上は全世界の喫緊の課題である。現在、手術、化学療法、放射線療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などによる集学的アプローチがなされているが、それらの効果は症例間でばらつきがある。この事実は、膵癌や宿主免疫の多様性が治療効果を決定することを示唆する。膵癌細胞の多様性のひとつに、癌代謝/代謝リプログラミングが挙げられる。近年、がん代謝標的治療が従来法を補完する戦略として注目されている。 我々は、膵癌手術検体での評価から、癌微小環境におけるタンパク質合成開始シグナリングの活性と膵癌浸潤能との関連を明らかにした。さらに、切除膵癌組織を用いたプロテオーム解析で癌代謝を評価、タンパク質代謝のみならず、膵癌患者間で栄養代謝状態の不均一性があり、そしてその違いが予後と関連することを明らかにした。 興味深いことに、微小環境では癌細胞と免疫細胞の代謝面での競合があり、それが免疫環境の形成に関与することが報告されている。そこで、「膵癌患者間での代謝適応の違いが、微小環境における抗腫瘍免疫能の違いを生む」と仮説をたてた。本研究では空間トランスクリプトーム解析を駆使して、「膵癌微小環境における癌代謝の差異に呼応する抗腫瘍免疫の差異の解明」に取り組むことを目的としている。そして、代謝制御による抗腫瘍免疫の賦活化、免疫療法の効果最大化を目指している。 2023年度はアーカイブ膵癌切除標本のFFPEブロックから癌部を選定し、複数症例の切片からなる組織マイクロアレイ(TMA)ブロックを作成した。HE染色によりTMAブロックの質を検証した。質の担保がなされた後、HE染色を参考に組織切片上で関心領域を設定し、関心領域の空間トランスクリプトーム解析を実施した。解析データ取得後は、膵癌代謝状態により症例を層別化し、GSEA(Gene Set Enrichment Analysis)などを用いて2群間での遺伝子発現の違いについて検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存アーカイブ検体を用いる研究デザインであり、研究環境も整っていたため、滞りなく研究開始が可能であった。空間トランスクリプトーム解析も滞りなく実施可能であった。その結果、本研究課題は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、空間トランスクリプトーム解析で得られたデータの評価中である。バルク解析では困難な膵癌細胞特異的な代謝適応状態の評価を実施、そして代謝適応パタン別に、間質細胞や免疫細胞のプロファイリングを行い、差次的発現を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
空間トランスクリプトーム解析時の関心領域の設定を、当初の予定より多く設定した。そのために空間トランスクリプトーム解析を、年度をまたいで複数回にわけて行う必要性が生じたため。
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