研究課題/領域番号 |
23K08126
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岡 義人 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (50925287)
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研究分担者 |
高屋敷 吏 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (30456024)
酒井 望 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70436385)
小西 孝宜 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (80865882)
大塚 将之 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90334185)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 大腸癌肝転移 / BAP1 |
研究実績の概要 |
今年度は当院で外科的切除した大腸癌原発巣81例とその後当教室で切除した大腸癌肝転移巣81例に対してBAP1の免疫染色を行い、発現傾向、臨床病理学的因子、予後との関係を評価した。大腸癌原発巣、肝転移巣ともに腫瘍細胞の細胞質内での発現を認め、肝転移巣におけるBAP1高発現群では術後再発が有意に高く、肝転移術後の生存率が低い結果となった。さらにBAP1高発現は切除不能再発期間が有意に短い結果となった。ただし残念ながら原発巣での高発現群と低発現群との間に臨床的データにおける有意差は認められなかった。正常腺細胞では核内、細胞質内含め発現はほとんどの症例で観察されなかった。 当教室で保有する大腸癌細胞株のうち、DLD-1とSW620の細胞株を用いて評価、解析を始めた。それぞれの細胞株に対してlentivirusを用いてBAP1をoverexpression、knockdownし、ウエスタンブロットにて蛋白量を評価すると、2つの細胞株でバンドが増幅また減衰することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は臨床検体を用いた検討を行い、切除標本を使用して免疫染色でBAP1の発現を評価することを予定していた。実際に原発巣と肝転移巣81例ずつを染色してみて、原発巣での結果において有意なものは得られなかったが、肝転移巣における免疫染色では無再発期間、全生存期間、切除不能再発期間で有意差を得られた。よって進捗状況としてはおおむね順調と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
臨床データから、BAP1が腫瘍を促進する役割を持つ可能性が示唆されたため、この背景におけるBAP1の根本的なメカニズムを明らかにするべく、in vitro実験を行う。実験には、ヒト結腸癌リンパ節転移細胞株SW620とヒト結腸癌細胞株DLD-1を用いて、in vitroでの腫瘍細胞増殖に対するBAP1の効果を評価するため、BAP1を高発現させた上でwound healing assayで遊走能の評価、invasion assayで細胞浸潤能能の評価、colony formation assayで細胞定着能を評価する予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に338,382円が繰越となりましたが、まだ実験の最初の工程であり材料費が予定より低くなりました。しかし次年度以降は実験の回数、種類が大幅に増えることで材料、薬品、たんぱく抗体など含め、今度は予定次年度使用額を超えることが予想されるため、繰越分を使用することになります。
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