研究実績の概要 |
われわれは結腸癌の悪性度や予後解析の結果、癌間質マーカー SPARCが臨床的にそれらの表現型と関連することを臨床検体および public database (GSE17538)を用いて明らかにした。また、 publica database (GSE35602)を利用したmicrodissectionおよび microarrayのin silico解析により癌間質評価を行うことで、悪性予後が癌間質特異的遺伝子の発現を反映していることを再現性をもって確認できた。以上から、癌間質マーカーによる悪性度に注目してさらなる解析を行い、癌間質の線維芽細胞 (CAFs)と細胞障害性 T細胞 (CTLs)に関連するマーカーが癌の予後と関連することを明らかにした (2024 Okuno K et al, PLOS One)。これらの研究結果に基づき現在は CAFs markerに注目した癌間質研究を進めている。CAFs関連遺伝子として同定された115個の遺伝子のうち最も強く予後と関連する10遺伝子には collagen family遺伝子や CAVIN3, INHBA, THBS2, SPARCなどが含まれた。これらの遺伝子を KDして癌間質活性の分子機序を解明中である。遺伝子プロファイルの共通性や違いと表現型を比較することで癌転移に関わる遺伝子異常のうち治療標的として最適な遺伝子を同定することが目的である。SPARC knockdown (KD)により collagen familyや THBS2が制御されていることが明らかになり、INHBA KDにより特に COL8A1が低下していることがわかった。面白いことに COL8A1の発現は collagen familyの中で最も強い予後因子であり、結腸癌の新規治療標的であることが強く期待されている。
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