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2024 年度 実施状況報告書

生体肝移植後長期予後を目指した革新的なグラフト質的評価法の樹立

研究課題

研究課題/領域番号 23K08174
研究機関九州大学

研究代表者

萱島 寛人  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80546557)

研究分担者 吉屋 匠平  九州大学, 大学病院, 助教 (20717079)
戸島 剛男  九州大学, 大学病院, 講師 (40608965)
長尾 吉泰  独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター臨床研究部, 医師 (70608968)
吉住 朋晴  九州大学, 医学研究院, 教授 (80363373)
原田 昇  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80419580)
伊藤 心二  九州大学, 大学病院, 講師 (90382423)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードiPS由来肝細胞 / 肝不全治療 / 肝増殖因子
研究実績の概要

本研究の目的は、本邦における生体肝移植のさらなる治療成績向上を目指し、低侵襲かつ高精度な革新的グラフト質的評価法を確立することである。従来、レシピエントの予後に関与するドナー側因子としては、グラフトの大きさとドナー年齢が重要視されてきたが、高齢ドナーグラフト使用時に特異度の高い質的評価マーカーを用いて、症例ごとに適切なサイズのグラフトを選択できれば、レシピエントの生存率向上とドナーへの侵襲軽減の両立が期待される。これらのマーカー評価には現時点で肝組織が必要であるが、肝生検は出血や胆汁漏のリスクを伴う侵襲的手技である。そこで、我々はドナー末梢血単核球(PBMC)を用いた非侵襲的かつ安全な評価法の確立を試みた。従来の手法ではPBMCの細胞生存率が約30%と不良であったが、新規採取法を導入し、生存率を約80%にまで向上させることに成功した。さらに、同定されたグラフト評価遺伝子マーカーを活用し、遺伝子改変ラットを作成したうえで、ヒトiPS由来肝細胞(i-Heps)によるグラフト機能補完を目的とした動物実験を計画した。これに先立ち、iPS由来星細胞(i-Stes)とヒト星細胞株LX-2の上清をi-Hepsに添加したところ、i-Stesの上清が有意にi-Hepsの増殖を促進することが判明した。さらに、i-Stesがi-Hepsの増殖に与える影響の機序を解明すべく、増殖シグナルの解析やi-Stesの活性化が肝細胞増殖に及ぼす影響を検証する一連の実験を行った。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、生体肝移植のグラフト評価およびiPS細胞由来肝細胞(i-Heps)を用いた肝不全治療の新規戦略開発に取り組んだ。まず、ドナー末梢血単核球(PBMC)を用いた非侵襲的なグラフト質評価法の確立を目指し、PBMCの細胞分画を詳細に評価するためのフローサイトメトリーパネルを構築した。あわせて、生体肝移植レシピエントに関する臨床データの収集を行い、予後との関連を検証する体制を整えた。i-Hepsについては、in vitroでの肝細胞としての機能評価を進めるとともに、iPS由来星細胞(i-Stes)との共培養により増殖が促進されることを確認した。特に、i-Stesが分泌するHGFが増殖促進に関与していることが判明し、HGF阻害剤の添加によりその効果が消失することから、HGFが中心的な役割を担っていることが示唆された。さらに、増殖促進に関与する細胞内シグナルの活性化を検証し、i-Stesによる機能的影響の分子機序を解析した。また、炎症性刺激によりi-Stesの機能が変化し、HGFの分泌が抑制されることで増殖促進能が低下することも確認された。加えて、遺伝子改変による肝不全モデルラットを作製し、門脈内にi-Hepsを移植したところ、移植ラットは90日以上の生存を示し、血中指標の測定により、ヒト由来肝細胞がin vivoで機能していることを明らかにした。

今後の研究の推進方策

今後は、PBMCによる非侵襲的なグラフト質評価法の臨床応用を目指し、患者コホートでのPBMC細胞分画の評価を行う。また、i-StesのHGF依存的な肝細胞増殖促進機構の詳細を明らかにし、i-Hepsの大量培養技術を確立することで、肝不全モデルにおける治療効果の向上と再現性のある移植法の確立を図る。これにより、生体肝移植領域における診断・治療の両面で革新的な戦略構築を目指す。

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公開日: 2025-12-26  

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