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2023 年度 実施状況報告書

scRNAseqによる血液循環腫瘍細胞検出と腫瘍内空間的トランスクリプトミクス

研究課題

研究課題/領域番号 23K08175
研究機関九州大学

研究代表者

進藤 幸治  九州大学, 大学病院, 講師 (00788432)

研究分担者 森山 大樹  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70586859)
永吉 絹子  九州大学, 大学病院, 助教 (90761015)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードscRNA-seq / 膵癌 / 微小環境 / signature gene / 消化器癌
研究実績の概要

本研究の目的は、scRNA-sequencingを用いて癌微小環境内で腫瘍の進展における腫瘍細胞の動態、免疫寛容獲得や血中流入などをきたすsignature geneを同定することである。さらに、そのsignature geneを実際の病理組織上に落とし込み、遺伝子マップを作成して癌微小環境の複雑な相互作用を解明し、癌の浸潤、転移機構などを解明することである。
本研究において、腫瘍組織内での癌細胞の数が多く組織入手が簡便なことから、まず膵癌と同様の消化器癌であるヒト胃癌、ヒト食道癌組織を用いて、scRNA-seqとAI搭載機能解析ソフトHALOを用いた空間的位置情報の解析を行った。HALOは、組織切片全体において細胞ごとに発現データを取得して、データと画像をリンクさせ、その分析出力をフィルタリングすることで特定の細胞集団を容易に可視化することができるソフトである。
1.scRNA-seqでは複数の遺伝子発現が異なる癌細胞集団の中で、転移を起こしやすいと報告されている上皮間葉転換(EMT)関連の遺伝子発現が高い細胞集団を同定した。この細胞集団はMHC class2関連遺伝子の発現が高いことが明らかになり、多重免疫染色でもVimentin陽性AE1/AE3弱陽性細胞でMHC class2陽性の癌細胞を確認した。2.HALOを用いた空間位置情報の解析では、腫瘍微小環境は腫瘍浸潤免疫細胞の密度によって免疫チェックポイント分子の発現が異なり、これが免疫寛容の機序の一つである可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初予定していたヒト膵癌を対象とした研究の前段階として、癌組織内での腫瘍細胞の多い消化管癌から研究を開始しているため、やや遅れていると判断した。ただし、消化管癌では順調にscRNA-seqのデータ獲得、さらには詳細解析が進んでおり、準備実験として進んでいる。

今後の研究の推進方策

現在行っている、消化管癌に対するscRNA-seqを膵臓癌に対しても同様に行う。上皮間葉転換(EMT)関連の遺伝子発現が高い細胞集団/MHC class2関連遺伝子の発現が高い細胞集団にfocusを置き、膵臓癌組織においても消化器癌と同様の特徴を示すことを確認する。また、HALOを用いた空間的位置情報の解析も継続するが、同時に計画書通り”Visium Spatial Gene Expression”を用いた空間的トランスクリプトミクス解析も並行して行っていく予定である。
また、当研究室では、膵癌自然発生マウスやPDX,オルガノイド作成技術を確立しており、そちらを用いたvalidationを行う。
膵癌患者の血液から採取した血球成分を使用したsingle cell解析については、Johns Hopkins大学のProfessor Yuの移籍に伴い、現在のところ見通しが立たない状態であるが、こちらについてはpublic dataの使用や本研究室で独自にデータバンク作成を目指すことを考えている。

次年度使用額が生じた理由

研究の前段階として、消化管癌のscRNA-seq、さらには詳細解析が進めていたため研究計画に遅れを生じているため。次年度は膵臓癌に対するscRNA-seq受託解析費用などに使用する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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