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2023 年度 実施状況報告書

血中循環腫瘍細胞をレクチンで捕獲する新規回収法と診断技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K08186
研究機関筑波大学

研究代表者

下村 治  筑波大学, 医学医療系, 講師 (60808070)

研究分担者 松阪 諭  筑波大学, 医学医療系, 客員研究員 (00372665)
小田 竜也  筑波大学, 医学医療系, 教授 (20282353)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード膵癌 / 循環腫瘍細胞 / 糖鎖 / レクチン / Liquid biopsy
研究実績の概要

本研究は膵癌の転移を引き起こす循環腫瘍細胞CTCを、従来の抗体を用いた手法に加えて細胞の最外層を覆う糖鎖に着目し、糖鎖-レクチン反応を応用した新しいCTC検出法を開発し、回収したCTCの解析を行うものである。本年度は、膵癌細胞株を用いて、実際にCTC回収に用いられるEpCAM抗体磁気ビーズと、膵癌細胞株に特異的に反応するrBC2LCNレクチン磁器ビーズを作成し、In vitroでの回収効率の違いを検証した。まず有効に膵癌細胞株を検出可能なビーズの作成を行った。一定のビースとレクチンの各種濃度を検証し最適な回収効率となる条件を設定した。次にrBC2LCNレクチンへの反応性が異なる(認識糖鎖エピトープの発現が異なる)3種類の細胞株(Capan-1、SUIT-2、白血病細胞株Jurkat)を用意し、作成したレクチンビースでの回収効率を検証した。細胞株ごとの回収率は、認識糖鎖が発現するCapan-1は59.3%、糖鎖が発現しないSUIT-2、Jurkatでは11.3%、2.5%と回収効率に違いがあった。今後更に、EpCAM抗体ビースを作成し、上記の回収効率の違いを検証する予定である。また、臨床検体を用いた解析として、8例の膵癌患者血液から従来のCTC回収用フィルターを用いたCTCの回収を行った。3例で有核細胞が回収され、これらが癌細胞であることを検証するためにKRAS変異を確認し、1例ではKRAS変異が確認された。今後、症例を増やして現状のフィルターでのCTC回収効率を検証し、レクチンでフィルターのコーティングを行い、回収効率が上昇するかを検証する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

目的①rBC2LCNレクチン新規CTCの回収に向けて、レクチン磁器ビーズでの回収が可能であることをIn vitroで確認した。今後更に現行の抗体ビーズとの回収効率を複数の細胞株と実験系を用いて検証する予定である。
②実際の膵癌患者から取得した血液から、従来のフィルターを用いてCTCの回収に成功した。またこれらのKRAS遺伝子変異を解析し、一部では変異を確認し膵癌細胞であることを確認した。更に臨床情報の照合を行っていく。
③CTCの糖鎖遺伝子解析については、解析が可能な細胞が検出できることが確認できたので、今後の予定とする。

今後の研究の推進方策

目的①膵癌細胞株を用いた検証として、上記で検証したrBC2LCNレクチン磁器ビーズを用いて、これまで用いられてきたEpCAM抗体ビーズと各種膵癌細胞株の回収効率の違いを検証する。更に実際のヒト血液中に、これらの細胞株を混入させたモデルを作成し、レクチンビーズと抗体ビーズの回収効率を検証し、最適に膵癌細胞株を回収できる手法を検証する予定である。
目的②現行のフィルターを用いてCTCが回収できることを確認し、さらにKRAS遺伝子の変異も同定できた。従来のフィルターにレクチンを固相化し、回収効率に変化が出るかを検証する予定である。回収できたCTCは培養液で増殖できるかも同時に検証する方針とした。
目的③臨床検体から回収したCTCはSingle CTC RNA/Glycan解析(scGRsec)で、クラスター分類し、遺伝子変異から腫瘍細胞を含むクラスターの糖鎖、遺伝子を解析を予定している。これまでの検証で解析可能なCTCが実際の膵癌患者から回収できることが分かったが、まだ回収効率が不十分であり、十分なCTCの集団を回収できない可能性がある。①、②の進行状況で、より効率的な回収が可能となった時点で、患者血液から回収したCTCを含む細胞集団のSingle CTC RNA/Glycan解析を予定する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度は再利用可能な物品等の購入を控え、物品購入を削減した。
また使用するレクチン(試薬)に関しては、実験に十分量が確保可能であったため、次年度使用額とした。次年度使用額として、CTC遺伝子解析費用、CTCのシングルセル解析の費用として計上を予定している。

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公開日: 2024-12-25  

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