研究課題
まず、がん細胞における代謝機構に重要と考えられるミトコンドリアについて解析を行うこととした。近年がん細胞と微小環境を構成する細胞はトンネルナノチューブを介してミトコンドリアのやりとり(ミトコンドリアトランスファー)をしていることが乳癌や膠芽腫などで明らかにされつつあるが、膵癌微小環境でのミトコンドリアトランスファーに関する詳細は明らかになっていないため、膵癌微小環境でのミトコンドリアトランスファーに着目した。膵癌微小環境でのミトコンドリアトランスファーは現時点では臨床検体のシークエンスデータから確認することは困難であるので、まずMitoTracker Red CMXRosおよびMitoTracker Green FMを用いてin vitroで膵癌微小環境でのミトコンドリアトランスファーについて膵癌細胞株(Panc-1、PK-1、MIA PaCa-2)と線維芽細胞(KMST-6)を用いて確認した。KMST-6からPanc-1、PK-1、MIA PaCa-2の3細胞株それぞれにミトコンドリアがほぼ一方向性に移動していることが確認された。またKMST-6から単離したミトコンドリアをPanc-1、PK-1、MIA PaCa-2の3細胞株に導入(ミトセプション)を行い、通常細胞株とROS産生について検討したところ、ミトセプションを行った細胞株でROS産生が増加していることが確認された。上記の結果ががん代謝にどのような影響を与えるのか細胞株のRNAシークエンスならびに臨床検体を用いたシークエンスを行い確認する予定である。
3: やや遅れている
当初予定した研究については、立案後に複数の研究結果が報告されたため、がん代謝に深く関与する膵癌微小環境でのミトコンドリアトランスファーに着目することにした。膵癌微小環境でのミトコンドリアトランスファーは現時点では臨床検体を使用したシークエンスデータから得ることは困難であるため、まずin vitroの実験を行い、その後その結果を鑑みてシークエンスを提出することとしたため。
線維芽細胞KMST-6から単離したミトコンドリアを導入(ミトセプション)した膵癌細胞(Panc-1、PK-1、MIA PaCa-2)の3細胞株のRNAシークエンスを行い、その結果を踏まえて臨床検体を用いたシークエンスへの提出、解析を行う予定である。
次年度の実験消耗品使用予定
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 4件)
EBioMedicine.
巻: - ページ: -
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