研究課題/領域番号 |
23K08227
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
笠島 里美 金沢大学, 保健学系, 教授 (20444200)
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研究分担者 |
川島 篤弘 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (20242563)
笠島 史成 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (90303304)
尾崎 聡 金沢大学, 保健学系, 助教 (40401921)
松本 康 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (20262579)
池田 博子 金沢大学, 附属病院, 准教授 (10447675)
黒瀬 望 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (10319048)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | IgG4関連疾患 / 炎症性大動脈瘤 / 臓器特異的線維芽細胞 |
研究実績の概要 |
炎症性腹部大動脈瘤の内,IgG4-RD組織学的診断基準を満たす例(IgG4-IAAA;13例)をIgG4-VDとした.それ以外のIAAAをnon IgG4-IAAA(16例),対照として外膜肥厚のない動脈硬化性腹部大動脈瘤(aAAA)5例、解剖例の腹部大動脈7例を検討した. ISLR、PDGFRβ、NG2とCD31の二重免疫染色を施行し,バーチャルスライド化し,全標本解析を行った.ISLR陽性細胞,PDGFRβ陽性細胞をそれぞれISLR陽性線維芽細胞(meF),PDGFRβ陽性線維芽細胞(cF)とし,CD31陽性細胞を成熟内皮(mE),ISLRまたはPDGFRβ陽性かつCD31陽性細胞を未熟内皮(imE),mEとimEの合計を総内皮(tE)数とした.標本全体の面積あたりの各種陽性細胞を算定した.面積あたりのmeF数は,正常対象に比し, IgG4-IAAA例は有意に多数であり(p=0.008)、non IgG4-IAAA例と比較してIgG4-IAAA例は有意さはないが多数であった(p=0.531).面積あたりのcF数は、正常対象と比較しIgG4-IAAA例は有意に多数であり(p=0.000),IgG4-IAAA例と比してnon IgG4-IAAA例が多数であった.内皮細胞数あたりのmeF数は、non IgG4-IAAA例(imE数あたり15.69, mE数あたり0.29, tE数あたり0.28)と比較して、IgG4-IAAA症例(imE数あたり6.70, mE数あたり0.06, tE数あたり0.06)は少ない傾向がみられた(imE数あたりp=0.196, mE数あたりp=0.101, tE数あたりp=0.101).imE数あたりのcF数は、IgG4-IAAA例(imEあたり13.22)と比較し、non IgG4-IAAA症(iMあたり41.35)では有意に多数であった(p=0.037).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年中に,固定後パラフィンブロック検体の組織標本での二重免疫染色標本での解析が終了し,統計解析まで進んでいる.現在は.以下の検討を進めており,本研究課題の進捗は概ね順調である. 1)血管の対象症例において,線維芽細胞の種類とcollagen線維の増生の関係性の確認のための3重蛍光免疫染色を施行しており,解析中である. 2)血管の対象症例において,免疫細胞(樹状細胞)リンパ濾胞との関係性を二重免疫染色,mRNAIn situ hybridizationで確認しており,解析中である. 3)線維化のパターンについて,AI解析を施行中である. 4)比較臓器として,唾液線疾患(IgG4唾液腺炎,唾石)においても同様の検討を進めており,血管との比較を解析中である.
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今後の研究の推進方策 |
2024年は固定後パラフィンブロック検体の組織標本を用い,以下のデータをまとめる. 1)血管の対象症例において,線維芽細胞の種類とcollagen線維の増生の関係性の確認のための3重蛍光免疫染色を施行しており,解析する 2)血管の対象症例において,免疫細胞(樹状細胞)リンパ濾胞との関係性を二重免疫染色,mRNA In situ hybridizationで確認しており,解析する 3)線維化のパターンについて,AI解析を施行する. 4)比較臓器として,唾液線疾患(IgG4唾液腺炎,唾石)においても同様の検討を進めており,血管との比較を解析する. これらのデータより各疾患の線維化のパターンと,維芽細胞の種類と,免疫細胞の関係性を解析し,結果がまとまり次第,統計解析を進める予定である.正常血管,大動脈瘤の外膜の生材料を得て,線維芽細胞の培養準備中である.研究計画の変更を必要とする問題は発生していない.
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次年度使用額が生じた理由 |
R5年度末に購入予定の試薬が高額であり,残予算では購入できず,次年度に合算して購入することとした.また,分担者の使用金額が少なかった.
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