研究課題/領域番号 |
23K08231
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
神谷 賢一 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30961784)
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研究分担者 |
仲田 晋 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (00351320)
松林 優児 滋賀医科大学, 医学部, 医師(非常勤) (20973217)
永谷 幸裕 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80402725)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 3次元画像解析 / コンピューターグラフィックス / 心臓CTデータ / ボリュームレンダリング / サーフェスレンダリング |
研究実績の概要 |
現在の標準的なCT解析法として2次元トレースによるMPRまたはCPR法が用いられるが, これらの計測法は特に専門的な技術を必要とし解析にも時間を要する。近年, ボリュームレンダリング投影法を用いて生体の心臓解剖を可視化し3次元(3D)評価するDirect volume-rendering (DVR)法が医療でも応用されつつある。DVR法ではVTKと呼ばれるインターフェースを用いることで3D画像に直接介入し計測が可能であるが, 計測者が任意の断面で臓器内腔を観察しウィジェットと呼ばれるマーカー点を慎重に置く必要があり, 臨床医には技術的にも困難であった。その原因として3D画像自体に計測に必要な境界(等値面)情報が存在しないことが考えられてきた。そこで我々はより有効な3D計測法として, ボリュームレンダリング画像上に等値面情報をもつサーフェス画像を重畳するハイブリッド技術を用いることで3D計測に応用する、Isosurface geometric measurement on volume-rendered images (IMVR)法を新たに提案した。IMVR法は国内の学会で高く評価され、複数の学会で優秀演題賞を受賞した。IMVR法は特に心臓血管系の計測に有用と考えられるが, 今後の臨床応用を目指す上では3D計測の妥当性の評価が不可欠と考えた。そこで本研究では複雑な心臓解剖を計測対象とし, 従来のCPRと比較することでIMVRの正確性や信頼性を検証するファントム実験を計画した。2023年12月に複数の計測者によるファントム実験は既に完了し、現在は原著論文を投稿中である。また本研究結果を、国内外の学会にて報告する予定である。IMVR法が従来のCPR法よりも高精度であることが証明されれば, 心臓血管系の複雑な解剖構造の解明につながる可能性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年12月に複数の計測者によるファントム実験は既に完了し、現在は原著論文を投稿中である。また本研究結果を、国内外の学会にて報告する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ファントム実験の結果から、本研究における様々な問題点や課題が指摘された。ファントムモデルは生体の心臓や血管の構造を反映しているが、複雑な生体組織のCT値を反映しておらず、実臨床への応用へは最適な3D画像の表示法を検証する必要がある。そのためには生体組織を用いた更なる実験研究が必要と考えられる。今後、これらの課題が解決した後には、IMVR法を実際の臨床データに応用することで、弁膜症や大動脈疾患などの複雑症例での詳細な術前計測を計画している。またIMVRは膨大な画像データ解析にも対応可能なため,心臓の動態生理や弁膜症の病態解明などの基礎実験研究を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
IMVR法を検証するファントム実験の過程において様々な問題点が指摘され、実臨床への応用へはまだ解決すべき課題が残されている。特にファントムモデルでは再現できない生体組織を用いた更なる実験研究が必要であり、これらの基礎実験を進めるうえで、更なる研究資金が必要と考えられる。更にIMVR法を実際の臨床データに応用可能かどうかを検証するPilot studyの必要性も指摘されており、今後、更なる計測実験やデータ解析作業に費用を要する。また英文校正や論文投稿における費用など、限られたリソースで最大限の研究結果を発信する準備を進めている。
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