研究実績の概要 |
大動脈弁狭窄症の病変の主座である大動脈弁石灰化の病因メカニズムは、現在も世界中で研究が進められているが手術以外の根治治療はなく、その病因メカニズムを標的とした明確な予防法や薬物療法は現時点でも確立していない。これまで我々は大動脈弁組織において免疫染色を行い、細胞傷害性T細胞・単球/マクロファージ・制御性T細胞・PD-1/PD-L1タンパクの発現を同定し、さらに石灰化部位での感染の既往を示すlipopolysaccharideの存在とPD-L1タンパクの高発現を明らかにした。 これらの知見から、感染/炎症に続発した免疫システムの破綻により大動脈弁組織の障害や弁石灰化が進行することが推察されたため、大動脈弁狭窄症例の弁において、慢性炎症の影響を評価するため、疲弊化T細胞に発現する新しい免疫チェックポイントタンパクTIGIT, TIM-3, PD-1の発現の有無を同定するため現在141症例の大動脈弁標本を準備し免疫染色を施行中、一部結果について統計学的検討を行い、学会発表の準備を進めている状況である。
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