研究課題/領域番号 |
23K08263
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
松山 重文 帝京大学, 医学部, 講師 (90713420)
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研究分担者 |
内山 雅照 帝京大学, 医学部, 講師 (60713295)
山本 康人 帝京大学, 医学部, 助手 (70972818)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | トロンボモジュリン / アンチトロンビン / 播種性血管内凝固症候群 / 移植免疫 / リコンビナントリコモジュリン / 血管内膜 / 微小循環障害抑制 / 慢性拒絶反応 |
研究実績の概要 |
臓器移植における最大の課題である慢性拒絶反応は依然制御できない状態であり、移植臓器不全の大きな要因となっている。微小血管の内膜肥厚や微小血管炎が一因となる慢性拒絶反応に対して、血管内膜トロンボモジュリン(以下、TM)の減少が慢性拒絶反応の基盤となるのではと考え、TM投与による移植心冠動脈内膜保護効果[JCTS 2018;13:48]を報告した(課題番号15K19927)。その報告を行った際に、全身性炎症反応状態におけるTMとアンチトロンビン(以下、AT)の相乗効果の検討が今後の課題として残された。2008年にTMが臨床使用可能となるまで、2009年日本止血学会からのDICエキスパートコンセンサスにあるようにAT製剤が最も推奨度が高いとされていたが、両薬剤の使い分けや投与タイミング、併用療法の効果など不明な点が多かった。TM製剤使用率の高まりに合わせるようにTMとAT製剤を併用した臨床研究も行われるようになり、敗血症性DICに対するAT製剤とTMの併用療法はAT製剤単独治療と比較して生存率を改善させることが判明した[日救急医会誌 2013:24:119-31]。しかし、後ろ向き臨床研究であることと患者背景の複雑さから、併用療法の作用機序や効果判定は不明の点が多いままであった。TMとAT製剤併用による抗凝固能や抗炎症作用などの作用機序に関する免疫学的評価は行われていないため、今回心臓移植モデルを用いたTMとAT併用療法による冠動脈内膜肥厚抑制効果と抗炎症効果を検討した。 2023年度はマウス心臓移植モデル作成と血清内TM定量/AT活性を評価した。手術用顕微鏡を用いてC57BL/6マウス心臓をCBAマウスの腹部に移植すると、無治療群では7日間で拒絶される。無治療群の血中TM濃度が術後3日目に最低となり、10日目に術前まで回復することを確認した。現在AT濃度を評価中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験の中心となるマウスモデルの作成が順調であったため。
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今後の研究の推進方策 |
・TMとAT製剤併用による生着延長期間測定 ・TMとAT製剤併用による抗炎症・冠動脈内膜肥厚抑制効果
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次年度使用額が生じた理由 |
・移植マウス作成が予想よりかなり順調であり、追加購入するマウスがほぼ無かったため。 ・手術用薬剤(麻酔薬、縫合糸など)を節約し、当該年度の追加購入を控えることが出来たため。
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