研究課題/領域番号 |
23K08279
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
後藤 景子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10772519)
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研究分担者 |
鈴木 穣 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40323646)
江口 英孝 順天堂大学, 大学院医学研究科, 先任准教授 (00260232)
市村 幸一 順天堂大学, 医学部, 特任教授 (40231146)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 年齢依存性 / 遺伝性大動脈疾患 / エピゲノム |
研究実績の概要 |
【背景】遺伝性大動脈疾患における原因遺伝子のエピゲノム制御はほとんど解明されていない。ヒト大動脈壁で生涯を通じてどのように変性が進行しているのかの詳細は不明なままである。原因遺伝子の病的バリアントによる発症メカニズムは変異型タンパクの存在によるdominant negative effect と正常型タンパクの量に依存するhaploinsufficiencyの2つに大別して論じられているものの、ヒト遺伝性大動脈組織の転写制御はこれまでに分析されておらず、メチル化パターンは不明なままである。DNAの化学修飾であるメチル化は、バランスのとれたmethyltransferaseとdemethylase活性によって適切なレベルに維持されており、年齢とともに増加することが示唆されている。また、ハプロタイプ依存性アレル特異的メチル化(hap-ASM)は、高度に組織特異的であるとされている。本研究では、疾患原因遺伝子のアレル特異的メチル化パターンを明らかにすることを目的とする。また、これらの病態解明に加え、年齢依存性の発症に関する臨床アウトカムの調査を行うこととする。 【方法と結果】同意を得た複数の患者の大動脈壁を収集保存した。ヒト遺伝性大動脈疾患の大動脈壁を用いた疾患原因遺伝子のAllele-specific methylationの実験系および電子顕微鏡を含めた病理組織免疫染色の実験系構築にあたり、予想されるDNA抽出量の検討の結果、抽出量の予備的な検討を行っている。また、疾患発症の時空間的な理解を前進させるために、強固に年齢依存性の発症を認める染色体疾患における症状と年齢のメタ分析について論文報告した。また、疾患発症の時空間的な理解を前進させるために、染色体異常症における年齢依存性について発症年齢のメタ分析を論文報告し、臓器のモザイク比率と症状発症閾値に関する臨床的考察について学会報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同意を得た複数の検体を収集保存した。
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今後の研究の推進方策 |
実験系の構築を進め、ナノポアシークエンスによる分析および病理組織の免疫染色の実施を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
希少検体を扱うため予備的な検討を重ねたことに加え、標準治療選択の実態調査に用いるデータの厚労省からの送付に時間を要したため。ロングリードシークエンス試薬および、データ分析用保存媒体等への使用を計画している。
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