研究課題/領域番号 |
23K08286
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
北田 正博 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (60332483)
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研究分担者 |
大崎 能伸 旭川医科大学, 大学病院, 名誉教授 (30191935)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 肺悪性腫瘍 / 光線力学的診断 / 胸膜播種 / 呼吸器外科 |
研究実績の概要 |
肺癌術後胸腔内再発の一因と考えられる微小播種性病変や小さな転移性肺腫瘍、早期の悪性胸膜中皮腫などの胸膜悪性病変に対する画像診断や、手術時の可視診断には限界があり、精度の高い診断法が希求されてきた。胸膜播種診断や肺癌の胸膜浸潤因子の有無診断の精度向上は治療方針決定のためにも非常に重要である。 我々は、自家蛍光に着目した光線力学的診断法の研究を行ってきた。精度向上のため、光感受性物質である5ALA(アミノレブリン酸)に注目している。体外より摂取した5ALAは、ヘムの前駆体であるProtoporphyrinⅨに代謝され悪性細胞内に留まり、630nm程度の赤色~ピンク色の発光作用を呈する。5ALAの経口投与後(手術4時間前、20mg/Kg)胸膜悪性病変の観察を行った。 過去の研究データ(131例:胸膜浸潤が疑われる肺癌83例、転移性肺腫瘍32 例、悪性胸膜中皮腫7例、胸腔内良性疾患9例)を示す。1)悪性病変では赤色蛍光が認識され、蛍光発色観察可能例は、転移性肺腫瘍で90.6%、悪性胸膜中皮腫で85.7%であった。2) 肺癌胸膜浸潤診断はpl0かpl1以上に対する感度は、肺腺癌に限 ると感度93.9%、特異度74.3%、陽性的中率60.8%%、陰性的中率96.2%であった。蛍光観察可能なpl0の88.9%が術前PL1と診断した症例であった。3)胸膜播種性病変 6例の内、2例は視認困難な症例であった。 結論として、胸膜近傍で胸膜浸潤を疑う腫瘍性病変であれば、病変の局在診断が可能である。肺癌では胸膜浸潤陽性例の手術方針を検討すべき診断となる。また、視認困難な胸膜播種診断にも寄与する可能性がある。現在、このデータをもとに、特定臨床研究再開のための準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、特定臨床研究施行のための書類作りなどの準備を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
泌尿器科領域、脳外科領域の診断にしか保険適応となっていないアミノレブリン酸を使用した光学的診断を胸部悪性腫瘍診断に適応となるように、症例を 増やし検討を深めていきたい。更に、アミノレブリン酸を利用した光線力学的治療についての研究も準備したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の使用は、科学研究費よりの支出は少なかった。研究の支出の中でも、学会出席への交通費にも使用させて頂く予定である。
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