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2023 年度 実施状況報告書

ラット肺移植における体外肺灌流保存中の炎症性サイトカイン制御

研究課題

研究課題/領域番号 23K08292
研究機関京都大学

研究代表者

中島 大輔  京都大学, 医学研究科, 講師 (50812286)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード肺移植 / 体外肺灌流 / 炎症性サイトカイン / 虚血再灌流障害
研究実績の概要

本邦における肺移植では、長時間の臓器虚血状態が時に不可避であり、移植後に虚血再灌流障害による早期移植肺機能不全を生じる危険性が高い。長時間の虚血による酸化ストレスは、臓器中の樹状細胞の活性化を引き起こし、様々な炎症性サイトカインを分泌し、移植再灌流後にサイトカインストームを惹起する。中でもドナー肺のTumor necrosis factor (TNF)-αやインターロイキン(IL)-6はサイトカインストームの重要な仲介因子であり、治療のターゲットとなる。我々のグループでは、以前より肺移植後の虚血再灌流障害において、IL-6が仲介因子として重要であることを、小動物及び大動物モデルを用いて報告してきた。ラットの障害ドナー肺では、EVLP後にIL-6のmRNAの発現増幅が認められた。ビーグル犬の障害ドナー肺を用いた肺移植モデルでは、血清中のIL-6が高値を示していた。体外肺灌流保存(Ex Vivo Lung Perfusion:EVLP)は、移植前の体外でのドナー肺の機能評価、テーラーメイド治療のプラットフォームとして有効であることが証明されている。そこで、このような重要な炎症性サイトカインを制御する製剤を移植前のEVLP中に投与することは、移植後の虚血再灌流障害を予防する可能性が示唆される。本研究は、ラットの肺移植モデルとEVLP装置を用い、EVLP中に投与する薬剤・成長因子の虚血再灌流障害に対する有効性を検討している。現在、ラットのEVLP装置を用い、長時間の冷虚血による障害モデルを作成している。ラットドナー肺を臓器保存液でフラッシュし摘出したのち、非障害群はすぐに4時間のEVLPを行う。一方で、障害群は長時間の冷虚血時間後、4時間のEVLPを行い、EVLP中の生理機能を比較することで、最適な障害モデルの構築に励んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、長時間(15時間)の冷虚血による障害モデルを構築することができている。障害群のEVLP中の肺生理機能(肺コンプライアンス、肺血管抵抗)は、非障害群の安定した生理機能と比較し、有意に悪くなっている。

今後の研究の推進方策

長時間の冷虚血障害を受けたラット肺を用い、EVLP-肺移植モデルを構築する。長時間の冷虚血障害により、ドナー肺で有意に上昇している、すなわち治療のターゲットとなる炎症性サイトカインを明らかにする。続いて、EVLP中に投与すべき薬剤・成長因子の移植後虚血再灌流障害に対する有効性を検討する。長時間の冷虚血時間により障害を受けたラットドナー肺を、無治療群と治療群に分ける。治療群では、EVLP灌流液中に選択した薬剤・成長因子を投与する。その後、左肺をレシピエントのラットに移植し、2時間の再灌流評価を行う。EVLP中と移植再灌流後の肺生理データとともに、得られた検体を用い、薬剤・成長因子の抗炎症作用だけでなく、抗アポトーシス作用、血管透過性制御作用などを評価する。

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公開日: 2024-12-25  

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