研究課題/領域番号 |
23K08298
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 勝也 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60585743)
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研究分担者 |
大西 秀哉 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30553276)
大薗 慶吾 九州大学, 大学病院, 助教 (60912847)
緒方 久修 九州大学, 大学病院, 特任准教授 (70432945)
山崎 章生 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80404440)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | MAML3 / Hedgehogシグナル / Notchシグナル / 非小細胞肺がん / 形態形成シグナル / 抗腫瘍効果 / 癌悪性形質 / 新規癌治療法開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、増殖、遊走、浸潤、抗癌剤感受性、癌組織線維化に焦点をおき、MAML3-Hh/NOTCH新規経路がNSCLCの新規治療標的分子となり得るかを検証する、ことである。本年度は、肺線癌細胞株および頭頚部扁平上皮癌細胞株を用いて、NOTCHシグナル抑制により癌の形質変化が生じるかをまず検討した。NOTCHシグナルの阻害剤は、ガンマセクレターゼ阻害剤:DAPTを使用した。肺線癌細胞株での実験では、DAPTの使用により、再現実験を繰り返し行っても、増殖能・浸潤能・遊走能は有意に方向性をもって変化しなかった。一方で、頭頚部扁平上皮癌細胞株を用いた実験では、DAPTの使用により増殖能・浸潤能・遊走能は有意に抑制されることが分かった。即ち、NSCLCはNOTCHシグナルの影響を受けにくく、頭頚部扁平上皮癌はNOTCHシグナルが治療標的となり得る可能性が考えられた。我々の先の研究を含めた解析結果で、頭頚部扁平上皮癌においてNOTCHシグナルの上流にComplement 3 and pregnancy zone protein-like, α2-macroglobulin domain-containing 8 (CPAMD8)分子の関与する可能性を見出した。CPAMD8は最近見出された前眼部を形成する形態形成関連の遺伝子であり、形態形成関連遺伝子であるという意味で、形態形成シグナルである:NOTCHシグナルやHedgehogシグナルと関連する可能性が考えられる。今後はNSCLCより先にまず頭頚部扁平上皮癌においてCPAMD8の生物学的役割を解析し、新規治療標的となるか、NOTCHシグナルと関連するかを検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NSCLCにおけるNOTCHシグナルの悪性形質誘導への関与が、なかなか明確にできず、何度も再現実験を繰り返したため、予定よりやや遅れることとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
我々の先の研究を含めた解析結果で、頭頚部癌においてNOTCHシグナルの上流にComplement 3 and pregnancy zone protein-like, α2-macroglobulin domain-containing 8 (CPAMD8)分子の関与する可能性を見出した。CPAMD8は最近見出された前眼部を形成する形態形成関連の遺伝子であり、同じ形態形成関連分子であるという点で、形態形成シグナルである:NOTCHシグナルやHedgehogシグナルと関連する可能性が考えられる。今後はまず、頭頚部扁平上皮癌においてCPAMD8の生物学的役割を解析する予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、増殖・遊走・浸潤といった細胞の形質変化を解析する実験が主であり、多くの消耗品が前研究のものを使用できたため、新たに購入する必要がなかったため、次年度使用額が生じた。今後、CPAMD8を抑制するための遺伝子操作が必要となるため、その費用にあてたいと考えている。
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