研究課題/領域番号 |
23K08313
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
寛島 隆史 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90966673)
|
研究分担者 |
保仙 直毅 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10456923)
舟木 壮一郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50464251)
新谷 康 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90572983)
木村 亨 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90580796)
渡部 直史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90648932)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 胸腺上皮性腫瘍 / 腫瘍間質 / キメラ抗原受容体T細胞療法 |
研究実績の概要 |
〇胸腺腫および胸腺癌における腫瘍間質の各種タンパク発現と臨床的因子との相関関係の検討においては、2017年から2021年までの大阪大学呼吸器外科における手術症例から胸腺腫および胸腺癌128例を対象とする。現在まで20例の腫瘍間質マーカー(FAPとαSMA)の免疫染色を行った。 〇浸潤性胸腺腫および胸腺癌のFAP発現に関するFAPを標的としたPET検査を用いた画像評価においては、現在行っているFAPI-PETの臨床試験に、胸腺腫症例を4例含め、FAPI-PET画像評価を行った。同症例における病理評価を行い、腫瘍間質マーカー(FAPとαSMA)の免疫染色を追加で行った。 〇FAPを標的としたCAR-T細胞:FAP CAR-T細胞による基礎的・前臨床的検討おいては、まず、Target細胞の樹立として、ヒトFAPをHT1080細胞株に強制発現させ、HT1080-hFAPを作成した。ヒトFAP抗体であるF19をscfvとするCAR作成用のPlasmid合成を行った。ヒトの血液から単離したリンパ球にCAR plasmidを導入し、Flow CytometryでCARの発現を確認した。作成したFAP-CART細胞とHT1080-hFAP細胞の共培養実験を行い、①培養液中のヒトIL-2の増加(ELISA法)、②KillingAssayによりFAP-CARTの殺細胞性を確認、in vitroでの活性を確認した。また、以前にin vitroでの活性を確認したマウスFAP抗体(73.3)のCAR-T細胞については、作成を安定化させるためのプロトコール条件検討を行った。外科切除検体を用いたFAP CAR-T細胞の前臨床的検討における前検討として、胸腺腫手術検体1例をTissue slicerを用いて薄切し、細胞培養液中で培養環境下に置き、生体内の組織構造を維持した生細胞検体として維持可能か検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記研究実績で述べた細胞実験、具体的には①HT1080-hFAPの作成、②F19-CARのPlasmid合成、③ヒトFAP-CART細胞の作成、④ヒトFAP-CART細胞のin vitro実験、⑤マウスFAP-CART細胞作成の条件検討に、労力を要したため、他の実験を行う時間的余裕がなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
胸腺腫および胸腺癌における腫瘍間質の各種タンパク発現と臨床的因子との相関関係の検討においては、引き続き大阪大学呼吸器外科における胸腺腫および胸腺癌の手術検体の腫瘍間質マーカーの免疫染色を追加で行い、その発現とWHO分類、浸潤の有無、予後を検討する。 浸潤性胸腺腫および胸腺癌のFAP発現に関するFAPを標的としたPET検査を用いた画像評価においては、今後も行われるFAPI-PET臨床試験に胸腺腫症例を含め、胸腺腫におけるFAPI-PET画像診断、画像マーカーとしての意義を検討する。 FAPを標的としたCAR-T細胞:FAP CAR-T細胞による基礎的・前臨床的検討の中の外科切除検体を用いたFAP CAR-T細胞の前臨床的検討においては、胸腺腫手術検体のTissue slicer薄切の技術を安定させ、今回in vitroでの活性が確認できたヒトFAP-CART細胞との共培養を行う。 FAPを標的としたCAR-T細胞:FAP CAR-T細胞による基礎的・前臨床的検討の中のマウスモデルを用いた胸腺上皮性腫瘍に対するFAP CAR T細胞のin vivo作用に関する検討においては、まず、胸腺腫手術検体より線維芽細胞のPrimaryCultureを行い、不死化を行い、マウス線維芽細胞株を樹立する。胸腺腫細胞株TY82と不死化マウス線維芽を共移植し、皮下腫瘍マウスモデル、あるいは、共移植胸腔内播種マウスモデルを作成する。次に、今回安定して作成が可能となったマウスFAP-CART細胞の治療効果を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品、消耗品の購入価格が当初計画と異なっていたため次年度使用額が生じたが、基本的は計画通りである。 次年度使用となった分は、成果発表の旅費、または消耗品購入にあてる予定である。
|