研究課題/領域番号 |
23K08369
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
木田 康太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70385318)
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研究分担者 |
佐藤 智彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90553694)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 輸血関連循環過負荷 / 心機能障害 / 輸血 |
研究実績の概要 |
輸血合併症である輸血関連循環過負荷(transfusion associated circulatory overload: TACO)は、現在、輸血関連死亡の主要因であり、発症した場合の死亡率は約22 %と報告されている致死的な合併症である。心機能・腎機能障害など容量負荷に耐え難い患者において、輸血による容量負荷が肺水腫、呼吸不全に結びつくとされているが、発症機序について十分な解明はされておらず、治療法は対症療法のみである。 TACO発症機序の解明には遺伝子改変動物の使用が可能となるマウスモデルの開発が期待されているが、現在報告されている唯一のTACOモデルはラットモデルのみである。本研究の目的は、遺伝子的な考察が可能となるマウスTACOモデルを世界に開発し、さらにTACO発症機序を遺伝子および分子レベルで解明し、臨床におけるTACO治療につなげるための研究を行う。 当初、マウスTACOモデルの作製方法は、報告されているラットTwo-hit modelを発展させ、ドキソルビシン投与による心毒性によって心室の収縮能を低下させ(1st hit)、その状態で2nd hitとして赤血球輸血を行いTACOモデルを作成する予定であった。しかしながら、ドキソルビシン投与による心毒性によって心室の収縮能の低下では、再現性の高いモデルを作成する点で課題が残っていた。そこでドキソルビシン投与ではなく、心臓冠動脈の左前下行枝結紮による心筋梗塞発症により惹起させ心室の収縮能の低下させる方法を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、マウスTACOモデルの作製方法は、報告されているラットTwo-hit modelを発展させ、ドキソルビシン投与による心毒性によって心室の収縮能を低下させ(1st hit)、その状態で2nd hitとして赤血球輸血を行いTACOモデルを作成する予定であった。しかしながら、ドキソルビシン投与による心毒性によって心室の収縮能の低下では、再現性の高いモデルを作成する点で課題が残っていた。そのため他の再現性高く心機能を低下させる方法を検討していたため。
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今後の研究の推進方策 |
ドキソルビシン投与による心毒性によって心室の収縮能の低下では、再現性の高いモデルを作成することが困難であると考え、ドキソルビシン投与ではなく、心臓冠動脈の左前下行枝結紮による心筋梗塞発症により惹起させ心室の収縮能の低下させる方法を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、参加を予定していなかった 2023年の国際輸血(International Society of Blood Transfusion, ISBT )において、輸血関連循環過負荷(TACO; transfusion-associated circulatory overload)の動物モデルに関するセッションがあったために学会参加を行なった。世界のTACO研究の第一人者達と意見を交換することができ、申請課題に役立てることができたが、追加の研究費が必要となり前倒し請求することとなった。
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