研究課題/領域番号 |
23K08373
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
前田 琢磨 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (20713126)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 内因性テンナーゼ / 血栓 / 止血 |
研究実績の概要 |
2023年度は新たな内因性テンナーゼの新たな形成経路からのトロンビン産生を定量化する高感度トロンビン産生試験キットの実験系の確立を行った。実験系の確立においては、プレートリーダーであるモレキュラーデバイス社のSpectraMax i3xを使用した。健常ボランティアを募り、全血を採血、希釈系列を作成した。希釈系列は2倍、4倍、8倍、16倍とし、高感度トロンビン産生試験のトロンビン放出能を調べた。従来のトロンビン産生試験と比較し、希釈系列でのトロンビン産生が抑えられないことが判明し、本経路がよりTFPIの影響を受けやすい経路であると考えられた。このことは、逆にTFPIを測定するキットとして有用である可能性も秘めており、そちらの方向でも検討することとした。また、TEVARを行う患者から採血し、実際の高感度トロンビン産生試験の反応を計測、従来のTEGとの相関を検討中である。TEGでは計測できないマーカーを見つけることができる可能性を考えている。引き続き、計画通りに手術中に採血した検体に凝固因子製剤(FII-FX合成製剤、FVII因子製剤、VIII因子製剤、フィブリノゲン製剤)を加えることで、どのようにSMAT-FVIII/IXキットによる凝固能が変化するかを調べる予定であるが、前述の新たなTFPI計測キットの確立も非常に魅力的である。このため、今後必要な実験が増え、負担は増加する。しかし、新たな可能性が広がり、新規の知見を得られる可能性と言う意味で前向きに考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際の実験系の確立にやや時間を要したこと、また高感度トロンビン産生試験がTFPIを測定する系としても使用できる可能性が広がったことから、予定になかった実験がかさんだ。しかし、これは計画になかった可能性を広げることができたという意味ではよかったと考えている。実験系としてはおおよそ確立でき、ほぼ順調な進行と考える。
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今後の研究の推進方策 |
まず、手術中に採血した検体に凝固因子製剤(FII-FX合成製剤、FVII因子製剤、VIII因子製剤、フィブリノゲン製剤)を加えることで、どのようにSMAT-FVIII/IXキットによる凝固能が変化するかを調べる予定である。このことに加え、新たな可能性として挙がった、「TAFIを計測するキットの確立」も平行して行う予定である。従来の計画より多くの実験をこなさねばならないが、良い可能性がある以上、引き続き検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
差し引き0にほぼ近づいたものの、3333円の不使用が残ったが、誤差範囲と考えている。
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