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2023 年度 実施状況報告書

乳幼児期マウスのセボフルラン麻酔後脳神経障害のクロニジン前投薬による予防効果

研究課題

研究課題/領域番号 23K08394
研究機関愛知学院大学

研究代表者

奥村 陽子  愛知学院大学, 歯学部, 助教 (40319207)

研究分担者 池田 やよい  愛知学院大学, 歯学部, 教授 (00202903)
永井 亜希子  愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (40360599)
奥田 真弘  愛知学院大学, 歯学部, 教授 (90204130)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード全身麻酔後脳障害 / 乳幼児 / セボフルラン / クロニジン
研究実績の概要

乳幼児期の長時間や複数回の全身麻酔経験は成長後に学習障害をきたすことがげっ歯類と霊長類で報告されている。α2受容体作動薬クロニジンは麻酔薬による脳障害を予防する可能性についてげっ歯類で報告されている。そこで本研究では、全身麻酔後脳障害のクロニジンによる抑制効果を明らかにすることを計画している。
以前我々は、Lian ら(J Mol Neurosci,65:507-513,2018)の投与量を参考に1mg/kgの高用量のクロニジンをセボフルラン麻酔に併用したところ、マウスの麻酔中の死亡や、麻酔直後の海馬歯状回の脳神経アポトーシス細胞数の増加が確認された。そこで研究初年度は、クロニジンの投与量をE. Ponten ら(Acta Anaesthesiol Scand 2012; 56: 1058-1065)の報告を参考に減じてセボフルランに併用した。その結果、セボフルラン麻酔にクロニジンを併用することでマウスの麻酔中の死亡を生じず、海馬歯状回の脳神経アポトーシス細胞数はセボフルラン単剤麻酔より減少した(p<0.05。各群11個体、未発表データ)。その麻酔中の経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を実験小動物用パルスオキシメータ―MouseOx PLUSで測定したところ、セボフルランにクロニジンを併用した個体はSpO2の低下は認められなかったが、脈拍数の低下が認められた。
以上から、令和5年度に予定した「①21日令のマウスのセボフルランによる長時間の麻酔直後の海馬歯状回の脳神経障害に対するクロニジンによるアポトーシス抑制効果の検出」は、クロニジン前投薬と術中追加投与で確認できた。また、パルスオキシメータ―の装着により、検出した海馬歯状回の脳神経のアポトーシスは、低酸素血症によるものでないと判断している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究初年度は、「①21日令のマウスのセボフルランによる長時間の麻酔直後の海馬歯状回の脳神経障害に対するクロニジンによるアポトーシス抑制効果の検出」を行った。以前我々は、1mg/kgの高用量のクロニジンをセボフルラン麻酔に併用したところ、マウスの麻酔中の死亡や、麻酔直後の海馬歯状回の脳神経アポトーシス細胞数の増加が認められた。これはクロニジンの過量投与による高度徐脈、低血圧、低体温、無呼吸等によると考えられた。そこで研究初年度は、まずE. Ponten ら(Acta Anaesthesiol Scand 2012; 56: 1058-1065)の投与量を参考にクロニジンを減量し、それをLian らの投与方法を参考に麻酔開始30分前、麻酔開始2時間後、麻酔開始4時間後に分割投与した。この麻酔管理法で、マウスの麻酔中の死亡を生じず、海馬歯状回の脳神経アポトーシス細胞数はセボフルラン単剤麻酔と比較して有意に減少した(p<0.05。各群11個体、未発表データ)。その麻酔中の経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数は、実験小動物用パルスオキシメータ―MouseOx PLUSにより頸動脈で測定した。麻酔中のSpO2と脈拍数は定時測定し、麻酔管理法による差がないことの調査を試みているが、仔マウスの頸部で脈拍を安定して検出することができないことがあり、解析が進んでいない。

今後の研究の推進方策

「①21日令のマウスのセボフルランによる長時間の麻酔直後の海馬歯状回の脳神経障害に対するクロニジンによるアポトーシス抑制効果の検出」は確認できたので、その麻酔中のSpO2と脈拍数を安定して測定する方法を確立する。「②21日令のマウスの海馬歯状回の新生神経に対するクロニジンのアポトーシス防御機序を解明する」ため、海馬歯状回で放出される脳神経伝達物質、活性型ミクログリア、炎症性サイトカインを特異的抗体で検出し、クロニジン投与による変化量について解析する。

次年度使用額が生じた理由

「①21日令のマウスのセボフルランによる長時間の麻酔直後の海馬歯状回の脳神経障害に対するクロニジンによるアポトーシス抑制効果の検出」は、予測した必要サンプルサイズより少ない個体数で、免疫組織化学染色のみで施行できたため次年度使用額が生じた。これは「②21日令のマウスの海馬歯状回の新生神経に対するクロニジンのアポトーシス防御機序の解明」のために、免疫組織化学染色やウェスタンブロッティングの試薬を購入する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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