研究実績の概要 |
本研究は周術期せん妄の新しいバイオマーカーとしてプロスタグランジンD2(PGD2)が利用できるか、という疑問点に着目した研究である。ただPGD2そのものを直接測定することは現在の技術では不可能であるため、その主要な代謝産物である、11,15-Dioxo-9α-hydroxy-2,3,4,5-tetranorprostan-1,20-dioic acid (tetranor-PGDM)を測定することでPGD2の測定の代用を行う研究計画で研究を開始した。 tetranor-PGDMの測定は、Cayman Medical Companyより酵素免疫染色法を用いた測定キットが販売されており、尿中サンプルを使用して測定が可能なため、測定法を確立する目的で、キットの購入を行い、研究者自身の尿サンプルを用いて測定を実施した。ただ現時点で測定技術が未熟であることが原因ではあるのだが、測定値にばらつきが大きくあり、研究の測定値としては利用できない現状である。 tetranor-PGDMの測定に関しては今後の課題であるが、副次評価項目として測定予定のS100Bに関しては、当院で行っている他研究において、ELISAキットを用いた測定を行っており、その測定方法に関しては確立されている。 当院の倫理委員会への承認の準備も進めているが、まだ承認には至っておらず、可及的速やかに倫理委員会への承認も得ることが必要となっている。その中で、他研究において、本研究と同様に術後48時間集中治療管理が必要な患者を対象としている研究もあるが、当院のICUの病床運用から、48時間以上集中治療管理を行う術後患者の数も減少してきており、本研究の対象患者の項目において、プロトコールの見直しを検討中である。
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