研究課題/領域番号 |
23K08422
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
岡本 遥 (池庄司遥) 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任助教 (50585239)
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研究分担者 |
岡田 英志 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (30402176)
富田 弘之 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50509510)
鈴木 昭夫 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (80775148)
手塚 宜行 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任教授 (90868209)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 皮弁 / グリコカリックス |
研究実績の概要 |
外傷や熱傷に対して皮弁を用いた再建手術が行われるが、糖尿病患者の皮弁生着率は健常者に対して低いことが知られている。皮弁壊死は皮弁組織への還流障害が原因と考えられており、その要因の一つに血管内皮障害が考えられている。健常な血管内皮細胞内膜面にはグリコカリックス(GCX)と呼ばれる多糖類で構成された層が存在し、微小循環の恒常性を維持している。GCXは糖尿病によって障害されることが知られており高血糖下の皮弁組織ではGCXが障害されているために微小血管の循環障害が生じると考えられる。本研究では2型糖尿病モデルマウス(db/db)を用いて穿通枝皮弁モデルを作成し、皮弁組織の血管内皮GLXについて検討する。 9-12週齢のホモ型(db/db:糖尿病発症)とヘテロ型(db/+:糖尿病非発症)に対し、4本の穿通枝で栄養されている背部の皮弁を剥離し、3本を結紮切離し1本のみ残した状態で再度皮弁を背部に戻し、1週間での生着率を比較した。また皮弁血流をエバンスブルーを用いて比較した。術後1週間の皮弁組織について血管内皮GCXの形態学的差異を走査型電子顕微鏡(SEM)で評価した。 皮膚遊離後1週間の時点でdb/dbでは全ての個体で皮弁壊死が見られた。経時的に皮弁の変化を観察した結果、残存した穿通枝の対側からうっ血様に変色し壊死していく様子が確認された。対照群では全ての個体で皮弁は壊死せず生着した。皮弁血流について、db/+では皮弁全体がエバンスブル―によって薄く染色されたのに対し、db/dbでは残った穿通枝の対側半分が染色されなかった。SEMではdb/dbの血管内皮GCXはdb/+と比較して顕著に菲薄していることが確認された。 db/dbでは皮弁組織の血管内皮GCX構造が破綻していた。このことが皮弁組織の毛細血管から静脈への還流を障害していることが考えられた
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
皮弁作成を行うところから、治療まで速やかに結果が出ており、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
様々な治療薬を試していく
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