研究課題/領域番号 |
23K08424
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
田畑 貴久 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90278200)
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研究分担者 |
松村 一弘 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50378486)
藤野 和典 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (70402716)
水村 直人 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70869221)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 多臓器不全 / 骨髄動員 |
研究実績の概要 |
多臓器不全は今なお有効な治療法の無い難治性の病態である。申請者らは、多臓器不全患者に生じる臓器不全と糖尿病合併症にて見られる臓器不全の類似点より、両者には共通のメカニズムが存在すると考え研究を進めてきた。その結果、骨髄造血前駆細胞の異常化および本来骨髄から各臓器に分布し機能している細胞が減少することにより様々な臓器の機能不全を生じていることを見出した。さらにこの骨髄前駆細胞の異常は、骨髄動員と呼ばれる侵襲時に生じる骨髄細胞の血液中への多量の放出に関連して出現していることを見出しており、この骨髄動員によって生じる現象が骨髄前駆細胞の異常化、ひいては多臓器不全の一因となると考えている。 令和5年度は、マウスの骨髄動員の調査から開始した。マウスにリポポリサッカライド(LPS)を腹腔内投与したところ、24時間後にマウスにおける骨髄造血幹細胞と考えられているLSK細胞が末梢血液中に正常の10-20倍程度に増加することを見出した。また、腹膜炎モデルである盲腸結紮穿刺モデル(CLPモデル)においてもLSK細胞が末梢血液中に正常の約10倍程度増加することを見出した。この現象は血管作動薬であるノルアドレナリンの投与にても誘導されることを見出した。今後この骨髄動員前後での幹細胞の性質の変化につき調査を進めていく予定である。また、集中治療室入室患者の末梢血よりCD34陽性細胞をMACSにて取り出し、骨髄動員前後での性質の違いについての調査、およびフローサイトメトリーにてCD34陽性細胞の発現蛋白の性質の変化の調査を開始した。しかし骨髄動員の正確なタイミングが症例によって異なるため、まず骨髄動員の統計を得ることも開始しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒトにおける研究において、集中治療室入室患者のCD34陽性細胞の変化の調査の進展が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
人における研究においては、集中治療室入室患者における骨髄造血幹細胞/前駆細胞の調査をを進めていき、マウスにおける研究においては、骨髄造血幹細胞の骨髄動員前後の性質の変化について調査を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
残金が購入予定の物品の金額に不足していたため、次年度に使用することとした。
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