研究課題/領域番号 |
23K08456
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山口 賢次 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (70897892)
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研究分担者 |
菅野 恵美 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10431595)
丹野 寛大 東北大学, 医学系研究科, 講師 (10755664)
佐藤 光 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20832124)
工藤 大介 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (30455844)
今井 啓道 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80323012)
庄司 未樹 東北大学, 大学病院, 助教 (90645293)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ナノ型乳酸菌 / 熱傷創 / 創傷治癒 |
研究実績の概要 |
本年度は急性創傷におけるナノ型乳酸菌の効果の検証と熱傷創モデルの確立を中心に研究を進めた。 急性創傷におけるナノ型乳酸菌の効果に関しては、直接投与の濃度を検証し、さらに初回単回投与での創閉鎖率の改善を認めた。加えて、病理学的解析においても、CD31陽性血管数やαSMA陽性筋繊維芽細胞数の増加を認め、創傷治癒に関わる肉芽の増生を認めた。上皮化に関しても、上皮の進展率の上昇を認め、増生した肉芽上に皮膚が進展し、治癒が促進していることを確認できた。 急性期において炎症の調節に必要なサイトカインに関してELISA法での解析を行ったところ、IL-6やTNF-αの早期での上昇を認めた。加えて、好中球の遊走に関与するCXCL2やCXCL1なども著明な上昇を認めた。これらは、乳酸菌を急性創傷に投与することで創部における炎症が惹起され、創傷治癒過程における炎症期のメカニズムと合致する。炎症を惹起することで創の清浄化が促進する可能性が示唆された。さらに、抗炎症に作用するI L-10も後期にて上昇を認めた。炎症期から増殖期への移行を適切にかつ早期に誘導することで、創傷治癒を早めている可能性がある。今後、フローサイトメトリーで創部に遊走される白血球の分画を解明し、創傷治癒過程の変化を観察する予定である。 熱傷創モデルに関しては、マウス背部に電気ごてで作成した熱傷創の治癒過程及び病理学的変化を解析した。熱傷創が治癒する過程と、温度による変化、保護剤による違いなどを検討している。今後、標準的な治癒過程を明らかにし、ナノ型乳酸菌投与による変化を比較検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノ型乳酸菌の創傷治癒効果を十分に検討し、熱傷創での比較検討を行うことでより明確に熱傷創における効果を確認できると考えている。そのため、急性創傷におけるナノ型乳酸菌の効果の解明をまずは進め、並行して熱傷創における効果も検討していきたい。また、急性創傷同様に、熱傷創におけるサイトカイン、ケモカインおよび病理における免疫染色を行うことで違いを明確にしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
急性創傷においては、今後、フローサイトメトリーで創部に遊走される白血球の分画を解明し、創傷治癒過程の変化を観察する予定である。加えて、マクロファージの分画を解明することで、M1、M2マクロファージが乳酸菌によって遊走させるかや、治癒を促進するKeyとなっているか検討する予定である。 熱傷創モデルに関しては熱傷創モデルマウスにおいて治癒過程と、温度による変化、保護剤による違いなどを検討している。今後、標準的な治癒過程を明らかにし、ナノ型乳酸菌投与による変化を比較検討していく予定である。解析に関しては、急性創傷と同様の項目を網羅的に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額には、今年度の研究を効率的に進めた事に伴い発生した未使用額であり、2023年度請求額と合わせ、2024年度の研究遂行に使用する予定である。
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