研究実績の概要 |
無処置のマウスとSultamicillin(SBTPC)投与により腸内細菌叢水素ガス産生能を減弱させたマウスでARDSモデルマウスを作成し、腸内細菌叢の水素ガス産生能として糞便から産生される水素ガス量と、肺胞内水素ガスの指標として呼気水素濃度を測定し、各種炎症性マーカーとの関連から、腸内細菌叢由来水素ガスの抗炎症効果を検討することが目的である。 SBTPC投与により腸内細菌叢水素ガス産生能がほぼ消失することが確認できたことから、腸内細菌叢由来水素ガスの抗炎症効果の検討が可能と考え研究を進めた。本年度は主にHClを肺に注入した軽症ARDSモデルでの研究を中心に行った。無処置のコントロールを水素産生(+)群、SBTPC投与後を水素産生(-)群として検討した。腸内細菌叢水素ガス産生能については、水素産生(+)群では軽症ARDSモデル作成前後(前274.07 ppm, 後252.80ppm)で変化はなく、水素産生(-)群ではモデル作成前から低値であるがモデル作成後も変化は認められなかった(前0.20ppm, 後2.73ppm)。呼気水素濃度については、水素産生(+)群ではモデル作成後有意に減少し(前5.27ppm, 後1.86ppm, p<0.01)、水素産生(-)群ではモデル作成前から低値で変化は認められなかった(前0.13ppm, 後0.33ppm)。腸内細菌叢水素ガスは肺の炎症の場において消費されたものと考えられた。
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