研究課題/領域番号 |
23K08484
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
中江 竜太 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20786975)
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研究分担者 |
関根 鉄朗 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00747826)
田上 隆 日本医科大学, 医学部, 准教授 (40626272)
村井 保夫 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (30287750)
横堀 将司 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (70449271)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 人工呼吸 / 脳萎縮 / ICU獲得性筋力低下 |
研究実績の概要 |
人工呼吸は、胸腔内圧の上昇・脳静脈還流の低下から頭蓋内圧亢進・脳血流量低下を伴うことが知られているが、脳体積の変化に関する報告はない。研究代表者らは、敗血症や肺炎に伴う呼吸不全に対して人工呼吸管理を行った患者における脳体積の変化をCTを用いて評価し、脳萎縮の危険因子や転帰との関係を検討した。 2015年1月から2023年3月までにICUに入院し、人工呼吸管理を行い、入院中に頭部CTを2回以上施行した患者を対象とした後方視的研究を行った。脳血管障害や頭部外傷、CPA蘇生後など、脳体積に影響を及ぼす疾患の患者は除外した。脳体積は頭部CTからautomatic segmentation methodを用いて測定し、2回のCTの変化を記録した。脳萎縮を認めた患者(脳萎縮群)と脳萎縮を認めなかった患者(非脳萎縮群)とで、人工呼吸器装着期間、最大PEEP、平均PEEP、ICU滞在期間、入院期間、死亡率、四肢筋力評価としてMRC sum scoreを比較した。 84例が対象となった。脳萎縮群は71例、非脳萎縮群は13例であった。脳萎縮群は、有意に脳体積の減少を認め(1st CT:1.069±0.121L vs. last CT:1.034±0.121L、t(70)=9.436、差の95% CI:0.029-0.041、p<0.001)、中央値30日間で平均3.3%(35.2cm3)の脳体積減少を認めた。脳萎縮群は非脳萎縮群と比較して人工呼吸器装着期間が長く(20日 vs. 15日、差の95% CI:5.9-18.4、p=0.01)、ICU滞在期間が長く(28日 vs. 17日、差の95% CI:5.0-27.4、p=0.03)、MRC sum scoreが低値であった(36 vs. 48、差の95% CI:-19.5--7.1、p<0.01)。最大PEEPや平均PEEP、入院期間、死亡率に有意差は認めなかった。 長期間の人工呼吸管理を要した患者は、急速に進行する脳萎縮を合併することがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の開始が遅れたため2023年度の実施症例数は20例と少なかったが、2024年度の進捗状況は概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の進捗状況は概ね順調であり、引き続き、症例の登録を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の開始が遅れ、2023年度の実施症例数は20例と少なかったため、支出額が少なかった。2024年度の進捗状況は概ね順調であり、2024年度分として請求した助成金と合わせて使用する予定である。
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