研究課題/領域番号 |
23K08493
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
園田 順彦 山形大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90302140)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Glioblastoma / Methylation / TERTp変異 |
研究実績の概要 |
TERTプロモーター領域の遺伝子変異は膠芽腫において最も高頻度に認められる遺伝子異常であり、予後不良因子でもある。一方、欧米ではTERTプロモータ領域の遺伝子変異は80-90%で認められるのに対し、本邦では60-70%とやや頻度が低いのが特徴である。我々は、TERTプロモータ領域のメチル化が変異ではなくTERTの不活化に関与しているという仮説に基づいて研究を行ってきた。結果、TERTプロモータ領域のメチル化はTERTプロモータ領域の遺伝子異常のない症例において予後不良因子であった。しかしながらTERTプロモータ領域のメチル化は必ずしもTERTの発現と相関していなかった。したがって、TERTプロモータ領域のメチル化はTERTの不活化に関与しているのではなく、腫瘍DNAのメチル化のパターンに差がることを反映している可能性が示唆された。そこで本研究ではTERTプロモータ領域の遺伝子野生型症例を対象にメチル化のパターンを解析することとした。23例を対象にメチル化アレイをおこないDKFZによるクラス分類をおこなった。結果、TERT野生型膠芽腫はもGBMに多く見られるMesenchymal type, RTK1 type, RTK2 typeに分類されてが、80歳以上の高齢者においてPedHGG RTK1 subtypeという小児にメチル化パターンを呈していた。今後、これらの分類と臨床予後等との関連を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の解析において、欧米で頻度が低い、TERT野生型症例が 本邦に多い理由として超高齢者の特定のサブグループの存在を明らかにすることができた。 高齢化社会の日本では超高齢者膠芽腫も治療対象になることが多く、それがTERT野生型症例の頻度が高い一因になっている可能性がある。しかしながら、これらサブグループの臨床的な特徴は明らかではなく今後の検討課題である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はTERT野生型患者に注目して解析をおこなっていたが、若年者ではTERTの状態に関わらず通常のメチル化パターンを示した。したがって今後は高齢者患者に注目して特徴的なサブタイプを明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
メチル化解析の検体の精製に時間を要し次年度繰り越しとなったが、今年度の使用分を含め使用する予定。
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