研究分担者 |
比嘉 那優大 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (90792200)
米澤 大 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (50550076)
藤尾 信吾 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (30464473)
高城 朋子 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任研究員 (50972345)
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研究実績の概要 |
本研究は、グリオーマに特化した88遺伝子のカスタムDNA/RNAパネルを用いて日本人グリオーマ患者のゲノムプロファイルのデータベースを構築し、予後を含む臨床情報を用いて機械学習を行うことで、より高精度な診断と、治療反応性や治療予後の予測を可能にすることを目的としている。今回、病理診断医が診断に用いた同一のFFPE切片からDNAおよびRNAを抽出し、カスタムDNA/RNAパネルを用いて247例の膠芽腫を解析した。MGMTpに関してはMSPを用いて解析した。生命予後、無再発期間、年齢、性別、部位、MRI画像情報、腫瘍サイズ、治療内容などの臨床学的ファクターとゲノム・エピゲノムデータとの関連を検討した。 247例の膠芽腫を解析したところ、臨床学的ファクターに関しては、年齢、播種の有無、放射線化学療法の有無、腫瘍摘出度が予後因子であった。遺伝子変異に関してはPDGFRA遺伝子変異が最も強力な予後不良因子であった。コピー数変異に関しては、CDKN2A/B homozygous deletion, PPP2R1A, ATRX, CICが予後に関連していた。Linear regression modelで機械学習を行ったところ、一つの遺伝子だけでは予後予測モデルを構築することはできなかった。そこで我々は、ARID1A, PPP2R1A, ATM, CIC, TP53の5つの遺伝子をLinear regression modelで機械学習を行うことで、安定した予後予測モデルを構築することに成功した。またこの予後予測モデルは、強力な予後因子であるMGMTpや予後に影響を及ぼす臨床学的ファクターから完全に独立したモデルであった。今回、我々が構築した予後予測モデルを使用することで、治療反応性や予後予測が可能となり実臨床で有用である可能性が示された。
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